レイルウェイ 運命の旅路のレビュー・感想・評価
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やられた側の憎悪と怨嗟は長く残るというお話
第2次大戦、東南アジアで日本軍の捕虜となった英国人が受けた暴力・屈辱・恥辱。
終戦後数十年経てもそのトラウマは拭えぬものがあり、せっかく掴んだ結婚という幸福にも暗い影を落とす。
その暗い影を拭い去ろうと、自分を苦しめ辱めた日本軍関係者に復讐を果たそうと立ち向かう!!
なんて書くと勇ましいリベンジ劇風だが、物語は極めて静的トーンでしずしずと展開する。
日本人としては当時の邦人がなした残酷非道な行為にヒリヒリ痛いものを感じながら、「では一面的には戦争被害者であるあなたがたは世界の侵略地で現地人に何をなしてきたのか??」と反発心がむくむく頭をもたげてくる。
という風になかなか複雑な心境にさせられながら見続けたわけだが、本作品は実話ベースの個人対個人の話でありながら、そこから想像を膨らませると、個人を取り巻く「現在や過去の同国人たち」の加害行為に嫌でも直面せざるを得なくなる。
映画の出来としてはあまりに静的に過ぎたかもしれないけれど、上のような考察に到らせてくれたという意義は大なるものがあったのではと思う。
しかしあれだね、上のシリアスぶったコメントはさておき、主役白人の結婚に至る出会いエピソードはあんなとんとん拍子に行くものなのか??と目を丸くしてしまったよ。笑
パンチが少し足りない
全体的に淡々と描かれており、パンチが足りない
しかし、風景描写が異様にヨーロピアンで可憐でのどか
正直ラブロマンス系の映画作らせたら最強なんじゃないかと思った。
それ以外に思ったことは、戦争って誰もとくしないってこと
赦し
シンガポール陥落の話の後は鉄道の話すらしないローマクス(ファース)。心配になったパトリシア(キッドマン)は退役軍人仲間のフィンレイ(ステラン・スカルスガルド)に尋ねる。
通信兵だった若きローマクス(アーヴァイン)は日本兵の目を盗み、仲間とともにラジオ作りに励む。鉄道好きの彼は近辺の鉄道地図を作ったりもして、それがスパイ容疑へと繋がる。ラジオにしても敵国との通信機と疑われたのだ。そして2週間に渡る監禁・・・どんな拷問を受けたのか本人は語らなかったという。
フィンレイを通じて、通訳でもある憲兵隊の将校永瀬(石田淡朗)が生きているという事実を突き止めた。制裁を加えることによって平安を取り戻せると考えたのだ。しかし、フィンレイは鉄道で首をつって自殺・・・墓の前では仲間たちがかつて捕虜だった頃のように番号を唱える。
生きていた永瀬(真田広之)はタイの寺院で観光ガイドをしていた。拷問の後、永瀬は戦争で多くの人が殺された現実を見て、戦争の悲劇を伝えるために巡礼していたのだ。彼に対して腕を木刀で折ろうとするも中断。檻の中に入れたときには、苦しかった水攻め拷問を思い出すローマクス。しかし、決定的な復讐はしなかった・・・
妻のもとへと戻ったローマクスはあらためて永瀬の訪問を受ける。和解のために尽力した永瀬のことを赦すというローマクス。その後は友人として永瀬が2011年に死ぬまで続いた。
この最後の赦しがなければ、単なるつまらない映画となっただろう。フィンレイが自殺してまでローマクスに託したのだから、復讐はきっちりやらなければ!と思わせておいて、正直で贖罪を負った永瀬の人物あってこその友情の芽生え。復讐の連鎖はもうたくさんだ・・・
戦争で命が助かったとしても、死よりも辛い人生が待っていること。 こ...
戦争で命が助かったとしても、死よりも辛い人生が待っていること。
この実話もまた惨い。
そして日本人である私自身、恥ずかしくて情けなくなる。
2014.10.5
戦争の記憶は消えない…。
戦争中にタイに捕虜として連れられ、強制労働を強いられていた男。
そこで行われていた拷問に耐え、戦後もどうにか生き延びますが、そのトラウマは何年経っても消えることがありません。
妻やかつての仲間にも、当時の出来事を語らず、胸の内に秘めたままでしたが、当時の通訳者との出会いによって気持ちに変化が生まれます。
日本人のしたこと、過去の記憶というものは、決して消えることはありませんが、憎しみが赦しに変われるように、お互いがその罪を認め合うことができれば、少しは救われるのかもしれません…。
人のこころ
物語としてすごく良くできている。事実は小説より奇なり。
日本人として我が国の醜い歴史を知るためにも、大切な映画。また、人のこころの美しいことを知ることができる素晴らしい映画。西洋が文化的に優れているとは一概には言えないが、人間の尊厳のあり方が戦争中あまりに異なり、我が国ながら理解できないことが多い。でも今も続く、受験勉強の集中力や、言われたことを意味も考えず一生懸命頑張るサラリーマン等を考えると、戦争中も、上層部の言われたことを考えなしに頑張ってやっていた兵士や、憲兵もたくさんいたのだろう。やはり我が国は自分の頭で考えるという、かなり単純なことが必要なのだ。
淡々と
英国軍がタイで日本軍の捕虜になる話。
戦争の悲惨さを描いている映画としてはかなり生々しいものの、殺されるには至らずともひどい扱いを受けた、というのが肝ですが、その拷問もそれほど痛々しさは無く、痛めつけている日本軍の態度が理不尽極まりないのは仕方ないが、永瀬の感情がいまいち理解し辛く、後々懺悔の気持ちを表されても「それ本心?」としか思えず、何だか消化不良な作品でした。
戦争当時の内容も淡々としてるし、本国帰ってからのローマクスも、時に錯乱はしても基本的には淡々としてる。全体的に盛り上がりに欠ける内容でした。
(「シングルマン」「裏切りのサーカス」のコリンファースがそのまま演じてる感じ。心の闇に埋没して周囲が理解不能みたいな)
史実としては勉強になったし、ラストの二人の邂逅は良かったので、鬱屈したコリンファースが観たい人にはお勧めです。
赦し
実話ということもあり、かなり見応えのある作品だった。和解を通して、人間の強さや美しさ、赦すということ…いろいろなことを考えさせられた。
コリン・ファース目当てで観たが、いい作品に出会えて良かった。
ずっしり重い
こんな実話があったのですね。戦争実話では必ず目を背けたくなるようなシーンは避けられません。つらいし、重いけど、これからもたまにはこういう映画を観て、こういう思いをして、戦争の悲惨さ、残酷さを忘れないようにしていかなくてはいけないと思います。
ある意味実話映画は怖い。
基本実話映画を元にした映画は感動を覚えるがこの映画に関してはちょっと違和感を感じた。実話だけにほとんどが大英帝国よりの感情が多すぎのような気がしました。これがフィクションなら当たり前でも良いのだが実話になるとその人寄りや映画制作側よって戦争への歴史が人によって真実が変わって来てしまう恐さを感じました。この映画も基本白人主義的なストーリーになってて過去に拷問を受けた主人公が素敵な奥さんを見つけ当時の仲間の友情や死、ほぼ9割りはそっちの美談や葛藤シーンで、ほぼゼロに等しい過去に拷問を便乗した日本兵のその後の葛藤や苦しみは全く画かれて無かったので「結局お互い戦争で苦しんだ。」とは程遠い気がしました。
結局この実話を書いた人のエピソードにしか観れなかった。個人的にはこんなエピソード映画に日本を代表する真田広之を使って欲しくなかった。
キャスティングの問題か、演出か
死ぬほどの目に合わされた人間が、時を経て復讐の意志を持ち、絶好の機会を得る。生かすか殺すか。
映画的だなあ。とても映画的な要素が多いのになあ。何と言うか、もったいない。
過酷過ぎる状況を生き抜いた男の、当時と現在の闘いにこそ見るべきものがあり、ラストに至るサスペンスの質は、その描かれ方如何であろうと。つまり演出ですね。その部分ではかなりいい線いっていると思う。コリン・ファースの線の細い壊れた感もいい。
しかし、収容所でのシーンにずっと違和感があって、何だろう、リアリティに乏しい。とたんに作り物っぽくなる。
問題は、真田広之だろうか。この役には、もっと軟弱で善人に見える(実は姑息な悪人なのだが)役者を当てるべきだった。真田はまんまソルジャーやん。いつ逆襲するのだろうと思ってたよ。
個人の和睦
ミッドウェイ海戦に負け、インド洋への海上ルートが閉ざされた日本が物資輸送のため着工したのがタイとビルマを結ぶ泰緬鉄道。地形的に困難を極め過酷な労働を強いられたため、後に英語圏からは「死の鉄道」と呼ばれる。
この鉄道建設を扱った映画で有名なのが「戦場にかける橋」だ。
「戦場にかける橋」は娯楽作品としても名作だが、この「レイルウェイ 運命の旅路」は中々に見るのが辛い映画だ。「戦場にかける橋」もニコルソンと斎藤という個人の対峙があるが、あの作品は国と国の意地の張り合いのようなものが根底にある。それに対し、本作は完全に個人の確執を扱った作品だ。戦争が遺す傷跡は国家よりも個人を蝕むという観点から作られている。
日本兵による捕虜に対する酷い仕打ちは目を覆うものがあるが、戦争とはそういうものではないだろうか。当時、捕虜の待遇を保障するジュネーヴ条約に日本は加盟していなかった。だから捕虜に対し残虐な行為をしてもいいということにはならない。また、協定を結んでいるからといって、戦時下に敵国の兵に対して紳士たる振る舞いができるのか、それも甚だ疑問である。作戦本部の机上で兵を捨て駒のごとく動かしている上層部と違い、戦地の人間は死ぬか生きるかの瀬戸際で行動している。戦争は人を狂わせる。人を狂気に走らせるのが戦争だ。
その狂気の犠牲になった一人の英国人を通して、戦争の残虐性を訴え、心と身体に遺された傷の癒し処が見つからない切なさが描かれていく。
元英国兵エリックが、背負った傷の多くに関わった元日本兵・永瀬と再開し、思いの丈をぶつけるシーンは見ていて切なくなる。
そして、最後は同じ時代を生き抜いた者通しとして交流する姿にほっとする。やっと個人として和睦が成立した瞬間に立ち会った思いだ。
真実を知ること、真実を受け止めることは大事だ。その上で、今後も日英や日豪の関係が一層良くなれば、過去の過ちで失われた命も少しは報われる。
「ごめんなさい」という言葉がどれだけ大事か、この作品が教えてくれる。「ごめんなさい」が言える関係こそが未来を切り開く。
だが、一旦話し合いで定めた協定や条約を破断にし、「ごめんなさい」を言おうものなら、執拗に保障させようとする外交を繰り返す一部の国に対しては素直に「ごめんなさい、悪かったね」とは言えないのだ。こうした国が欲しているのは“謝罪の気持ち”なのか、それとも単に“カネ”か、よく分からない。
"赦す"ことが出来るか…。
戦争が終結し、半世紀以上経った今、戦争経験者は少なくなった。それに伴って、戦争がいかに残虐で残酷で凄惨なものかを知らない人が多くなった。
戦争は、哀しみ、憎しみしか生まない。劇中のエリックのように、もがき苦しみ、しかし愛で憎しみを断ち切ることが出来る人もいれば、フィンレイのように最期まで憎しみを断ち切れない人もいる。
同じ過ちを、繰り返してはならない。
戦争は、誰のプラスにもならない。
そう、改めて思った。
いまこそ、見るべき映画
実に重い映画だった。
でも、いまこそ見るべき映画でもあると思った。
第2次大戦中の日本軍兵士がイギリス軍兵士に対して行った過酷な労働と拷問。こんなことがあったのだという事実。
なにしろ、これは自叙伝として描かれた実話なんだから。
そして、あとになっても癒されない心の傷(PTSD)。
その原因に向き合わなければ、いつまでも癒せれないという妻と友人。
いまだにのうのうと生きているという日本人(日本軍兵士)に怒り、復讐心を燃えたぎらせる。はじめのうちは、自分がやられたことをそのままやりかえそうとする。それでも、無抵抗な元日本軍兵士。「あなたに罰せられるために生きてきた」といい、当時の自分を悔恨していることを知る。彼もまた心の傷を負っていたのだ。
2度に会いに行くときは自分を救ってくれた妻と一緒だ。
私はいま、こんな素晴らしい妻をもっている。君もいつまでも悔やんでいないで前に向いて歩こうということを伝えに。
そして、そのイギリス人と日本人は死ぬまで交流を続けたという。
戦争というものは人間を矮小化する。目先のことしか考えられない生き物にする。理性も知性もなきに等しいものになってしまう。
そして、あとになって悔やむのだ。なんであんなことをしてしまったのだと。
だから、理性があるうちに、知性があるときに、よくよく考えなければならない。戦争がはじまってからでは遅いのだ。
いまこそ、知っておかなければならない。見ておかねばならない映画だと思う。
最後になるが、コリン・ファース、ニコール・キッドマン、真田弘之、ステラン・スカイシガイド、4人の出演者の演技が素晴らしかった。特に、僕のファイバリットのひとりニコール・キッドマンは大人の芝居を見せてくれた。よかったです。
日本人に評価してもらいたい作品
私達は戦争被害者視点の映画に慣れているので、苦く重々しい内容だが、この映画が伝えようとしているコトを日本人に見て感じて欲しい
この映画を制作してくれたことに日本人として感謝と敬意を送りたい
時を経て敵を許せるか
実話なので良い話ではあるはず。
拷問されたイギリス兵と拷問した日本兵が数十年たって合会う。というか、過去がトラウマとなっているコリン・ファースが過去を清算するために会いに行くのだが…
戦争が悪いとはいえ、今生きているのはこの日のためと言える真田さん。コリン・ファースの葛藤もよくわかる。
ひとつの知っておくべき歴史ですね。
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