「赦し」レイルウェイ 運命の旅路 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
赦し
シンガポール陥落の話の後は鉄道の話すらしないローマクス(ファース)。心配になったパトリシア(キッドマン)は退役軍人仲間のフィンレイ(ステラン・スカルスガルド)に尋ねる。
通信兵だった若きローマクス(アーヴァイン)は日本兵の目を盗み、仲間とともにラジオ作りに励む。鉄道好きの彼は近辺の鉄道地図を作ったりもして、それがスパイ容疑へと繋がる。ラジオにしても敵国との通信機と疑われたのだ。そして2週間に渡る監禁・・・どんな拷問を受けたのか本人は語らなかったという。
フィンレイを通じて、通訳でもある憲兵隊の将校永瀬(石田淡朗)が生きているという事実を突き止めた。制裁を加えることによって平安を取り戻せると考えたのだ。しかし、フィンレイは鉄道で首をつって自殺・・・墓の前では仲間たちがかつて捕虜だった頃のように番号を唱える。
生きていた永瀬(真田広之)はタイの寺院で観光ガイドをしていた。拷問の後、永瀬は戦争で多くの人が殺された現実を見て、戦争の悲劇を伝えるために巡礼していたのだ。彼に対して腕を木刀で折ろうとするも中断。檻の中に入れたときには、苦しかった水攻め拷問を思い出すローマクス。しかし、決定的な復讐はしなかった・・・
妻のもとへと戻ったローマクスはあらためて永瀬の訪問を受ける。和解のために尽力した永瀬のことを赦すというローマクス。その後は友人として永瀬が2011年に死ぬまで続いた。
この最後の赦しがなければ、単なるつまらない映画となっただろう。フィンレイが自殺してまでローマクスに託したのだから、復讐はきっちりやらなければ!と思わせておいて、正直で贖罪を負った永瀬の人物あってこその友情の芽生え。復讐の連鎖はもうたくさんだ・・・