台湾アイデンティティーのレビュー・感想・評価
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台湾の人に学ぶ。
映画は自身の勉強不足や薄知を再認識させてくれるからいい。
監督の前作「台湾人生」を観ていないので知らなかったが、
台湾には未だこのような人々が数多く暮らしているのを知った。
歴史的に知っておいて損はない、台湾についてなぜこれほどまで
親日精神が(先般の震災に於いても)息衝いているのか謎だったが、
これでかなり分かった気がする。平伏して御礼を言いたいほどだ。
台湾は1895年(明治28年)から1945年(昭和20年)までの半世紀、
日本の統治下にあって、日本語で教育を受けた“日本語世代”と
いわれる老人たちが現在でも数多く暮らしている。
顔も言葉もまるきり日本人と変わらない(確かにハーフの方もいる)
ので、あれっ?と思ってしまうが、80~90歳を越えて皆さんお元気、
朗々と過去と現在を語ってくれるところは非常に興味深い。
御歳も御歳なので、字幕付きでないと聞きとり辛い部分もあったが、
敗戦で日本が去った後、彼らがどれほど辛酸を舐め苦難を乗り越えた
のかは聞いているだけであんまりだ…と思うくらい辛かった。
彼らこそ戦争という時代に翻弄されて、利用されて、どちらの国に
アイデンティティーを求めていいのやら、と悩まされた民族である。
それでも、
「私は台湾人です。」とハッキリと告げる彼らは誇り高く勇敢だった。
紹介された6名のどの方も皆、力強く素晴らしかったが、
高菊花さんの父、高一生さんの短い45年の人生に秘められた意思、
父亡き後、家族を支えるため歌手となりながら17年間も尋問を受け
続けた彼女の「誰も悪くないんです。時代が悪かっただけなんです。」
という台詞に泣いた。恨み悔みを優先させたインタビューではなく、
彼らの幸せな生活と笑顔に語られる人間性こそが見習うべき要素で
あるとカメラは映し出している。彼らは紛れもなく台湾の人であった。
ドキュメンタリーなので娯楽性はないが、知っておく価値ある作品。
(二二八事件、白色テロ、まだまだ知っておく歴史が残っていたのだ)
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