SHORT PEACEのレビュー・感想・評価
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アニメの新たな表現に果敢に挑み、成功している
オムニバスの各作品ともに、これまでにない新たなアニメの「表現」にチャレンジしており、とても斬新で目を見張るものがあった。もう芸術だね。
また、表現だけでなく各作品の物語の「テーマ」も新鮮であった。
「映画館なら、なおよかったはず」と見逃したことを少し後悔している。
おすすめです。
劇場公開時(2013年7月24日:福岡中洲太陽映画劇場)以来の再見
返す返すも日本アニメの分岐点。湯浅政明が宮崎駿が高畑勲が今敏が・・・そして庵野秀明が・・最高のパフォーマンスでひしめき合う中でのこの仕上り。他の評者が何故こんなに評価が低いのか理解できない。注目すべきは他のジャパン仕様の作品群は確かに多くの日本のアニメタレントによって深化が続いているが、🎦武器よさらばのアニメスキルはマジ凄い。勿論光学表現でのCGIの原点は元を正せば大友の光残像と金田伊功の「金田エフェクト」「金田光り」などの表現革命から起こっているもので、その部分よりも何よりも手描きのメカを大友風の均質の線を残しながらその輪郭線で彩られたキャラやメカをPOV手法でカット割りするテクには痺れるとしか言いようが無い。この手法は恐らく誰にも継承されておらず、アプローチは違えども井上雄彦が敢えて言えば近いともいえるものの、この漫画家出身の二大天才によるアニメは限りなく近いものに見えて全く異質である。それ故に日本のアニメと漫画はやはり世界のどの水準で見てもとんでもなくすごいのである。
習作?
アカデミー賞にノミネート?文化庁の賞? 日本のアニメは衰退しているのか?
習作をそのまま世に出しちゃった、みたいな。
オープニングで鑑賞をやめようかと思ったが、話題になった江戸の大火を見たくて続行。
『九十九』
ジブリアニメのよう。『千と千尋の~』や『もののけ姫』が好きな人なら好きになるんじゃないか。
登場人物が森を歩く時、大地を踏みしめているようにみえなかったり、人物の動きが人間の動きじゃない(初期の東映の方がなめらか)のが気になるけれど、発色の美しさに癒される。
これは儲けもんと嬉しくなる。☆3つ。
『火要鎮』
振袖の大火と八百屋お七がごっちゃになっているような筋立て。どちらも江戸の町を焼き尽くした実際にあった歴史的な火事。八百屋お七は文楽や歌舞伎等でも何度でも取り上げられている。それをどう表現するのか、楽しみだった。江戸の町が焼き尽くされるのを楽しみにするなんてと自分に突っ込み入れながら。宣伝でも「圧巻」と聞いたし。
絵巻物風というアイデアは良いけれど、素地の絵巻がぶれるので見づらい(私の映像だけ?)。飛ばしたくなる。残念。
火が渦巻く様は見事。火消の仕事も迫力がある。でも、江戸の大火の様は遠景では描かれていたけど、彼岸の火事みたいで、ステンドグラスを見せられているよう。期待はずれで残念。
(どんだけすざまじい地獄絵図を期待していたんだかってここでも自分に突っ込み)
少女の狂気・情念を表現するという点では、名優たちの演じた文楽や歌舞伎の方がすさまじい。だからか、燃え盛る大火も熱さを感じない。綺麗な模様かイルミネーション・花火を眺めているよう。もっと、名優たちの演じる様を研究してほしかった。
大友さんて、感情を持って生きている生身の人に対して関心ないんじゃないか、なんてことまで思ってしまうぐらいにあっさりと描かれている。
う~ん。
『GAMBO』
なんだこれは。言いたいことはわかるんだけど、ストーリーは子どもでも思いつく使いつくされたネタ。同人誌等によくあるよ。戦いの際の骨が砕け散る様は、砕ける音が聞こえてきそうだけど、こんなの見たくない。子どもに見せたくない。これで、一気に評価が下がる。
これだけだとマイナス評価だけど、前の二つがあるから☆1つ。
『武器よさらば』
新宿ルミネ駅ビルの残骸のような景色。ストーリーは、原作が発表された頃なら斬新だったかもしてないけど、他にも、ハリウッドにありそうな。でも絵や役者の軽妙さが心地よい。やっぱり声優がいいとそれだけで作品の出来がアップする。
そしてラスト。本当に”武器よさらば”ですね。(笑)。世界中みんなこれに気がつけばいいのに、と妙にほっこり。
そして、このラストの音楽にあれを使いますか(笑)。キューブリック監督の『博士の異常な愛情』を思い出して虚無感を感じつつ苦笑いしてしまいました。
これで評価がちょっとアップ。最終的に表記の評価です。『GAMBO』とオープニングが無ければ、☆3つなんだけどな。
『AKIRA』で感じたドキドキ感がないよ。
「武器よさらば」見たさに鑑賞
4作品によるオムニバス映画。
そのどれもがストーリー、映像共に素晴らしかった。
『九十九』
トゥーンシェードのキャラクターと2Dの背景は、今の目で見るとやや作りの甘いところもある。
が、それにも増してほっこり心温まるストーリーに胸打たれた。
『火要鎮』
ストーリー面ではこの作品が頭一つ抜けていた。
江戸を舞台に、火消しとなって離れてしまった幼なじみの女の悲恋が描かれる。
江戸を巻き込む大火と女の悲しさがリンクしていて、演出面でも世界観に引き込まれた。
絵巻物の中でアニメーションが展開されるのも本作の魅力。
『GAMBO』
鬼を討伐する心優しき白熊の物語。
本作に登場する鬼を巡る設定も実に興味深かった。
『武器よさらば』
近未来の日本。砂に没した新宿跡を舞台に、パワードスーツを纏った歩兵と無人歩行戦車の市街戦が描かれる。
映像のリアリティと緊張感あふれるアクション。そして見る者を驚愕させるオチ。
何もかも良くできていた。
秀作。
『SHORT PEACE』 『九十九』、『火要鎮』、『GAMBO』...
『SHORT PEACE』
『九十九』、『火要鎮』、『GAMBO』、『武器よさらば』、日本を舞台にした4つのアニメ作品のオムニバス。ジャパニメーションの真髄が凝縮された1時間。大友克洋監督による『火要鎮』は最新のテクノロジーを駆使して江戸絵巻をスクリーンにブチまけた流麗な映像が強烈でしたが、10分強の尺というのは正直食い足りなくてこれだけで2時間観たかったです。
まんが日本昔ばなしみたいなオチの『九十九』、幻想的かつ血塗れな『GAMBO』も素晴らしかったですが4作品中で最も圧巻だったのはカトキハジメ監督の『武器よさらば』。原作漫画がそのまま動いているような映像だけでお腹いっぱいになりました。
オムニバスの弱点が出た
映像は濃密,,,なのだがそれぞれの話が小粒なのが惜しい.オムニバスはそれぞれが全く違いベクトルで弾けきっているか,もしくは同じベクトルの作品が揃っていると「これはスゴい」ということになるが,これはそのどちらでもなく,いわゆる「総合力」となっていない.
あかん。大友はすでに死んでいる。
前の短編オムニバス MEMORIESが良かったので期待して見に行きました。名古屋でしかやっていなかったのですが遠いなんて気にせず出かけました。
見た感想。
この野郎・・・下らんもんばっかつくりゃぁがって・・・
ふつふつと怒りがこみ上げてきました。
最初のプロローグみたいなので既に嫌な予感がしました。
次のイソップ童話みたいなので、”ふざけんなよ”
と思いました。
自身が監督をした作品では何をやりたいのかサッパリ分からず、演出の妙も凄みもまったく感じられませんでした。
熊は酷い・・・ありゃぁないでしょう。
最後のヤツだけがちょっと出来がいいのですが・・・
あれは全盛期の漫画作品のアニメ化ですから。
大友克洋・・・完全に終わってました。
一粒で5度美味しい!
大友克洋ら5人のクリエイターによるオムニバス・アニメ。
それぞれ独自の世界観・表現法で、“日本”を描く。
「九十九」(監督・森田修平)
嵐の山中、道に迷った男は小さな祠で一夜を過ごそうとする。そんな男の前に、人に捨てられた傘や着物などが物の怪になって現れ…。
本年度アカデミー賞短編アニメ映画賞にノミネートされた注目作。
古くなった物に霊魂が宿る付喪神という日本古来の題材ながら、キャラデザインは3DCGで表現。古きと新しきが絶妙に融合した世界観を構築。
物の怪は物を粗末に扱う人間への風刺、また物への感謝も忘れずに描く。
「火要鎮」(監督・大友克洋)
商家の娘お岩と幼なじみの火消しの青年・松吉。ある時お岩に縁談の話が舞い込むが、一目松吉に会いたお岩は…。
江戸を舞台にした悲恋物語。
画面上下に帯が入り、まるで絵巻のよう。後半の見せ場となる大火事シーンはまるで実写のよう。10分強の尺ながら、大友克洋の手腕が光る。
燃え上がる恋の炎。しかし、燃えすぎた炎は…。
「GAMBO」(監督・安藤裕章)
空から飛来した鬼の暴虐に恐れおののく戦国時代末期のある村。幼い娘は人語を理解する白熊に助けを求める…。
華麗な映像表現の前二作から一転、血みどろのバイオレンスが強烈な一編。
鬼と白熊の死闘が勿論見せ場だが、白熊と娘が出会うシーンも秀逸。娘の祈りとそれに応えた守り神のような白熊を、柔らかなタッチで表現。その分、後半の激しさと残虐さが際立つ。
キャラデザインを「エヴァ」の貞本義行、原案を「鮫肌男と桃尻女」の石井克人が担当。
「武器よさらば」(監督・カトキハジメ)
近未来の東京。廃墟と化した都市を訪れた小隊は、戦車型無人兵器の処理に失敗。激しい銃撃戦になる。
大友克洋の同名漫画が原作の近未来SF作。「AKIRA」「攻殻機動隊」の流れを汲むジャパニメーションと見れば、これも日本的。
キャラクターが装着する“プロテクションスーツ”や戦車型無人兵器など、登場するメカ描写が見事。「ガンダム」シリーズでメカデザインを担当していた監督のこだわり爆発。
映像も音響もリアルに表現され、まるで気分はSF版「ハート・ロッカー」!?
森本晃司によるオープニングアニメーションも忘れてはいけない。
少女が体験する不思議な旅を幻想的に描き、これから始まる4つの世界へ誘ってくれる。
一粒で5度美味しい!
世界トップクラスと言われる日本アニメの力。
けっこう面白かった
近未来の地上で機械兵器と闘う最後のエピソードの兵士が装着する外骨格的なスーツが、最近ネットで発表された米軍が開発しているタロスにそっくりでびっくりした。メガネのひ弱そうな男がタフな軍人に変身していてかっこよかった。
正直、面白くなかったらどうしようと心配だったのだが、けっこう面白くて満足した。
4つの作品まとめ
四つの作品が、一本の映画で、楽しめる。
お得な映画です。
60分と時間は短く、さっくり見れる感じ。
あんまり長くてもだれるのでこれくらいの映画もいいかなと思います。
最近の映画は二時間越えが普通なので、疲れますよね。
満足感が足りないと言えばそうであり、もっと見たい気にもなりましたが
ギュッと詰まった短編ならではの良さを感じさせる映画です。
一番好きなのは、八百屋お七をテーマにした「火要鎮」の話。
テーマにしてますよね?……してるはずです。
炎の描写と笛の音がかき立てる、火事の焦燥感に鳥肌が立ちました。
えいやー、と火消したちが走って、屋根に飛び上がる描写も大好き。
江戸時代っていいなああああ。
火消しになりたいです。
「アニメ映画」ではなく「アニメ作品」
大友克洋と日本のアニメ界気鋭のクリエーターたちが集結して作り上げた短編集『SHORT PEACE』、レイトショーで自分の両隣に座っていたのが外国人だったことからも大友克洋の9年ぶりの新作が国際的にも注目度が高かったことが伺える。
作品の全体的な感想としては、良い意味でも悪い意味でも自意識を欠いた作品だったというところだろうか。ストーリー的には魅せる要素は全くなく、世にも奇妙な物語(しかも最近)の方がまだ脚本がしっかりしてさえいる。2話目の『GAMBO』なんかはもうかなりやばくて、内容が幼女+淫獣+妊娠だとか、それエロ漫画で何千回やられた(同人では実にその倍々!※1)ネタだよ……、とかツッコミたくなってしまうほどだった。だが、自意識を欠いているが故に、この作品には制作者側のフェティシズムが存分に盛り込まれ、それが作品の魅力にもなっているのである。特に2話目の『火要鎮(ひのようじん)』と4話目の『武器よさらば』はそのフェティシズムの塊だといえる。
大友克洋が監督を務めた『火要鎮』は、日本の浮世絵とアニメを極限にまで融合させた一品であり、内容は全くないのだが、とにかく純粋に「絵が動く」面白さ、美しさには思わず深いため息を漏らさずにはいられない。細部にまで油断なく動く登場人物たち、鼻が低く目の細くて小さい純日本的な顔立ちの女性も色艶やかで、ネットなどでは「なぜ日本のアニメのキャラクターは白人ばかりなのか」という海外からの指摘があるが、そんな雑音も本作の前では沈黙せざるをえないだろう。また4話目の『武器よさらば』では、この監督は本当にメカを描いて動かすのがたまらなく好きなんだなぁと感心するほどに、とにかくメカの描写に愛が溢れている。人の「大好き!」が集まればここまでのものになるのかと、ここでもまたため息を漏らさずにはいられなかった。オチは題名から中盤で予想がつくが、この作品の楽しむべきところはその描写であり決して内容ではないので、そこもまた重要とはいえないだろう。
あくまでこれは「アニメ」を楽しむ作品であって、もし貴方が「アニメ映画」を期待して劇場に足を運ぶと悪い意味で期待を裏切られることになってしまうだろう。客を意識した作品ならば圧倒的にピクサー映画の方が優れているし、そういう作品をお望みならば公開中の『モンスターズ・ユニバーシティ』を観に行った方が損はしない。しかし、この『SHORT PEACE』はそんなピクサーのスタッフたちが鑑賞した後に、「俺たちにゃこんなの作れねぇよ……」と脱帽するであろう作品なのである※2。あらゆる不純物を排した、純度の高い「アニメ」をスクリーンで鑑賞してみるというのもまた一興なのではないだろうか。……まぁ隣の外国人寝てたけどな!
※1 偏見です
※2 妄想です
アニメの力
色んな見せ方があり面白い、大友克洋さんの新たな世界を見れて良かった。
オープニングからアニメの世界に引き込まれ、一つ一つの作品がテンポ良く展開された。
どれも短い間ながらとても見応えあるものに仕上がっていた。
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