「富士山と熊。」SHORT PEACE ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
富士山と熊。
もともとマニア向けのショートアニメなんだろうと思っていたので、
(おそらくは4作目のみを)どうしても観たい!と訴えてきた友人の
強烈な誘いがなければ、観たかなぁ?というレベルの作品。
確かに映像美は凄い。というより、他に何が?というくらい(爆)
オープニングから「何だこれ?」と思わされ、気付けば一体どういう
ストーリーなのかと、一話ずつ、けっこう釘付けにされる。
核心を突いたところでアッサリと終わりを告げる作品群に、
蓋を開ければドラマよりも壮大なアニメーション重視なんだよな…
と理解しつつ、ショートなおかげで、飽きずに観られたのも事実。
「九十九」
一番観やすかったのがこれ。分かり易いうえに面白い。
ただこの時代の日本人がここまで使い捨てをしていたとは思えず。
いま流行の「富士山プッシュ」なラストといい、とても漫画チック。
「火要鎮」
国際的に高い評価を得たという大友克洋作品。
江戸の町を焼き尽くす火の手の勢いと破壊力は(分かっていても)
かなり観応えがある。しかし女の方に男に対する情念が足りない
ため、悲恋というよりただの放火犯にしか思えない…(振袖火事)
「GAMBO」
ホッキョクグマと赤鬼の闘い。なぜここにリーアムがいない?(爆)
と思わせる壮絶ぶり。グロテスクな鬼と可憐な童女のコントラストが
面白い。日本昔ばなしを彷彿とさせる情緒と残酷性に満ちた作品。
「武器よさらば」
一気に近未来モノになるので面喰うが、テーマが明白。
戦闘シーン一辺倒のガンダムマニアが諸手を挙げて喜びそうな作品。
次々に殺されていく人間に対し監視ロボが最後に吐く言葉が切ない。
全裸で追いかける隊員の姿に、ある戦時中写真が思い起こされた。
日本をテーマにすると、やはり(今や)富士山なのか^^;
トップクリエイター達の饗宴による
理念、情念、怨念、童念の、よりどりミックスといった感じの作品。
(熊と闘うならリーアム親父、アニメ化して決着つけさせて下さい!)