「ありがとうのジンクス。」ジンクス!!! ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
ありがとうのジンクス。
期待せずに観に行って、爽やかな感動に包まれて席を立った。
韓国人アイドルのラブストーリーだろうと、単純にタカをくくって
非常に申し訳ない気分だった。
更に申し訳ないことに、このヒョミンという子も初めて知った。
K-POPグループのひとりみたいだけど、まぁ可愛い可愛い。
醸し出す表情と笑顔の素敵なこと!
ベタな恋愛成就物語でありながら、必要なことを切々と丁寧に
描いて伝えようとする演出方法は、懐かしいうえにホッとする。
ここまで奥手な大学生が今時いるのか?と思いつつ、
こんな温かい物語が描けるなら、日韓は喧嘩してる場合じゃない。
本当に素晴らしい友情が「ありがとう」と共に降ってくる作品だ。
恋人を事故で失ったジホは、短期留学で日本の大学にやってくる。
皆から離れてひとりでいる楓を見つけて、お節介を焼き始めるが、
元同級生・雄介に片想いと知り、勝手に韓国式恋愛指南に乗り出す。
そこには理由があった…というお話。
筋立てに新味はない。おそらくこういうことなんだろうの察しもつく。
とにかく観ていて惹かれるのは、鬱陶しいほどにジンクスを持ち出し、
あーだ、こーだ、と世話を焼き続けるジホの甲斐甲斐しさ。
現代っ子が他人と関われなくなったのは、こんなお節介がなくなって、
他人のことに無関心になったからだよねぇ…と気付かされる。
もっと自分のことを気にして欲しいくせに、それが言えない。
誰かが近づいてくれるのを待ってる。面倒だし恋人なんか要らない。
うそつけ!ホントは欲しいくせにー。素直じゃないなぁ…ホント。
アンタは寮のオバサンか??と見紛うほどの世話焼きに奔走する
ジホだが(実際の寮のオバさんもステキ、語られる想い出もいい)、
映画好きには恋愛映画のワンシーンが色々と繰り出されて楽しい。
ビデオ屋の店主、高橋和也が持ち出す名場面は、まさにドンピシャで
自分の世代と重なる。あー観た観た、それ。なんてやけに心がはしゃぐ。
その頃私は…ジャッキー派ではなく、ロッキー方面が大好きでした^^;
大きな哀しみを乗り越えて他人に尽くしていくという経験は、ジホの
傷心からの脱却にも繋がっていく。過去の二人の想い出を成就させて
前向きに歩き出すジホに対し、学生達が共同で醸し出す名シーンには、
涙が溢れた。これぞ本当の日韓友好親善。壁なんてどこにもない。
(きっとこの子はまた素敵な恋ができる。そういうジンクスがあります)