劇場公開日 2013年11月16日

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ジンクス!!! : インタビュー

2013年11月15日更新
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山崎賢人、俳優業にまい進中! 「どの役にも正解がないから楽しい」

映画にドラマに引っ張りだこの人気若手俳優・山崎賢人は、今年高校を卒業したばかりの19歳。真綿が水を吸うがごとく、ぐんぐんと経験値を蓄積している真っ最中だ。「どの役にも正解がないから楽しい。まさに『百聞は一見にしかず』」と10代のあどけなさを残しながら、10代とは思えない誠実さで役者としての自分を思考している。そんな山崎が俳優として新たなハードルを飛び越えたのが、日韓の豪華コラボレーションによって製作された青春恋愛映画「ジンクス!!!」だ。(取材・文・写真/山崎佐保子)

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決して女子から告白をしてはいけない。すぐにTwitterをフォローしてはいけない。1回目のデートの誘いは、必ず断る。「こんなジンクス聞いたことない!」のも仕方がない。これは、オリジナル脚本を手がけた熊澤尚人監督の韓国での実感が反映されたストーリー。おせっかいな韓国人留学生ジホが、素直になれないぶっきらぼうな女子大生・楓に大胆な恋愛指南をしていく。その過程を面白おかしく彩るのが、日本人にはあまり馴染みのない“韓流”恋愛ジンクスの数々。「韓国の人ってすごく積極的で、何度告白して振られても、まだ何度も告白する。日本人ってもうちょっと奥手ですよね。韓国と日本の恋愛観って全く違っていて面白いなって、とにかく全部新鮮でした。だけどやっぱり一番大事だなって思ったことは、自分の言葉で気持ちをちゃんと相手に伝えることですね」

山崎演じる奥手の大学生・野村雄介は、そんな楓に密かに思いを寄せながらも気持ちを一向に伝えられない、いわゆる“草食系”の地味な青年。「ああ、いるいる」というごく平凡な人物なのだが、役者にとって“極端”なキャラクターは演じやすいもので、“普通”という役どころこそ難しい。「監督からも『普通にいそうな大学生を演じて』と言われました。恋愛には奥手で、昔のトラウマのせいでなかなか楓との距離を詰められず、壁を乗り越えられない。雄介は自分の中にあるキャラクターでもあったので、あまり作り込まずにその時に思った感情を素直に出していました。監督からはとにかく『楓にビビれ』と。楓が怖いからビビるのでなく、好きだから目を見ることができない、好きだから言葉が出ない、好きだから近寄れない。そういうことを『ビビる』って、新しい日本語だなって。それはとても分かりやすかったです」。

日本でも人気急上昇中のK-POPガールズグループ「T-ARA」のヒョミン、「桐島、部活やめるってよ」の清水くるみというフレッシュな顔ぶれとの“競演”にも注目が集まる。「同じ年の清水さんは、楓の男らしい部分をもっていてすごくハングリー。たくさん刺激を受けました。日本以外の方と共演するのが初めてだったので、ヒョミンさんとの芝居もとても楽しかった。空き時間には韓国語を教えてもらったり、変な日本語を教えたり(笑)」。

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同世代ならではの和気あいあいとしたムードの撮影現場が目に浮かぶが、山崎はひとり静かに大きな壁にぶつかっていたという。「これまでは、芝居をする時にあまりカメラを意識しない方がいいのかなと思っていたんです。だけど熊澤監督に『意識するのがプロだよ』って言われ、“意識せずに意識する”という見せ方を改めて考えさせられました。ちょっとした顔の表情やセリフのタイミングなど、監督の演出はとても細かい。監督の作品に見られる繊細な心の揺れって、こういうところから来ているんだなって。撮影も中盤の時、監督に『全然雄介じゃない』と言われてしまい、かなり悩みました。自分が想像していた表情も全然できていなかったりして、芝居の原点を思い知った」と語る。

本作は、俳優・山崎賢人にとっての大きな分岐点だったのかもしれない。「とにかく映画作りは楽しい。そう再確認しました。日本も韓国も、国も言葉も関係ないんだなって。映画の現場って、撮影部、照明部、録音部など、どの部もみんな平等な感じがする。目指している方向がみんな一緒で、みんなで面白いものを作ろうとしている。その中で色々な意見があって、そういうのって好きです」と、いち“役者”から“俳優部”としての意識に目覚めた。また、「映画ってもちろん嘘なんだけど、役には嘘がない。そういう風になりたいんです。派手な役でも地味な役でも、自然にその役がスクリーンの中にいればいいなって。“自然体”というと普通の男の子を連想するかもしれないけれど、狂気じみた役でも自然体ってある。この人物であれば、この動きもこの言葉も出るだろうな、いそうだなって思わせたい。まだまだですけど」とはにかみながら、目指すべきところへのビジョンを見据えた。

今年高校を卒業したばかりの山崎は、本格的に俳優業へのまい進を始めている。「この仕事をやるからにはと、以前よりも映画を見るようになりました。役者の森岡龍くんが監督した『ニュータウンの青春』は、バカをやっている男3人組の話なんですがすごく面白かった。演じている側だけの目線だけしか分からないのはもったいないですよね。これまで全然興味はなかったけれど、録音部も撮影部も照明部も全部やってみたい。全部やった上で、本当の自分の立ち位置が分かる気がするんです」と興味は尽きない。

今後も、人気少女漫画の実写映画化「L・DK」、人気連続ドラマ「チーム・バチスタ4 螺鈿(らでん)迷宮」と話題作への出演が目白押し。「役名で覚えられるのって、役者としたら一番うれしいことなんじゃないかなと思うんです。役で覚えられるって、役になりきれているってことだから。例えば気持ち悪いオタクの役をやったとして、街とかで『うわ、きも!』って言われたら勝ち。そんなインパクトを残せたらうれしいですね」とさらなる振り幅の拡大に期待したい。

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