劇場公開日 2014年11月22日

  • 予告編を見る

「シラットアクションの魅力を引き出すための設定/展開作りが不十分な作品。」ザ・レイド GOKUDO Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0シラットアクションの魅力を引き出すための設定/展開作りが不十分な作品。

2014年11月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

単純

寝られる

主人公ラマを演じるイコ・ウワイスが繰り出すシラット。
前作同様に手数の多さ、動きの速さ/美しさに圧倒されます。
シラットそれ自体の魅力は十二分に楽しめた…という点はあるものの。
話の設定/展開が魅力的でない上に、全体的に冗長。
個人的には設定の斬新さも含めて前作の方が面白かったです。

まず話の設定/展開。
前作は少数精鋭 SWAT vs 麻薬王率いる武装集団。
30階建の麻薬王ビルを舞台に大混戦。
圧倒的な火力の前に、強大な戦闘力を持つ“狂犬”の前に次々と倒されるSWATの面々。
準備した銃弾は底を付き遂には肉弾戦に。
銃撃戦から肉弾戦に移る理由に納得感があり中盤以降のシラット無双にも胸躍りました。
またSWATの面々が力を合わせて敵に立ち向かう、特に冷蔵庫の場面が最高でした。

対する本作。
ラマ単身の潜入捜査。単体 vs 集団という形になった結果。
ラマに「エクスペンダブルズ」の面々のような不死身感が付与されてしまい緊張感が削がれました。
登場人物達が銃撃戦を“しない”理由も不明確。
シラットで魅せるための環境作りが不十分なように感じました。

また「潜入捜査」から想起される感情の揺さぶりも不十分。
何より潜入捜査モノで必要不可欠な“潜入先での相棒”が機能していない点、大変不満でした。
潜入捜査モノの肝。
それは自身の密命と潜入先での友情の狭間で揺れる主人公の苦悩、葛藤。
そして極限状況での最後の決断と考えています。
そのため潜入先の相棒が(社会正義的に許されない行為をしつつも)イイ奴であればある程に。
指令を出す元の組織が冷淡で非人間的であればある程に…話が盛り上がる訳です。
で、本作。
“潜入先での相棒”となるべき人物の魅力が実に乏しい。
ラマとの友情も浅く組織に潜入するための鍵に過ぎず感情的な揺さぶりが付いてきません。
当のラマの葛藤も殆ど無く、終盤の決断が盛り上がらなかった点も残念でした。

そして上映時間。
流石に上映時間146分は長過ぎる。
濃厚な中身、話運びで長くならざるを得ない作品も確かにありますが。
本作は絞るべき部分を絞らずに単純に繋げたという印象。
各場面に思い入れがあるのは分かりますが中盤は完全にダレました。
個人的には90分程度であれば話の粗が気になる前に逃げ切れたように思います。

シラットアクションの魅力を引き出すための設定/展開作りが不十分であった本作。
敵味方総じて生身の人間が死に物狂いで闘う気迫が滲み出ていた前作と比べて。
本作は倒されるためだけの、感情移入できない人物が多かった気が。
続編を意識して露骨に張られた伏線も本作自体を楽しむ上ではノイズになっていました。

とは言えシラットの魅力は健在。
小粒な中ボス2名との通路での戦闘は見応えがありました。
アクション場面の派手さ、量の多さにグッとくる方。
オススメです。

コメントする
Opportunity Cost