「なんだ、この会社は。」ある会社員 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
なんだ、この会社は。
設定そのものが大胆で面白い。
ある会社員の男が実は…という、まぁよくある話なのだが、
表向きはサラリーマン。実は殺人営業部の社員。っていう、
個人を殺人者にするだけでなく、それを会社組織にして
み~んなで人殺し、請け負ってます!っていうスゴイ設定。
しかも他社の依頼をこなすだけかと思いきや、
自分の会社の部下まで殺そうとする何て恐ろしい会社…。
もう観ている間、背中に戦慄が走りっぱなしなんだけど、
表向きは普通にサラリーマンしている皆さんなので、
昇進あり、定年あり、社員旅行ありでなぜか笑ってしまう。
女性社員も事務員も皆やりますからね。社員一丸となって!
ありえない~!と思いながら引き込まれてしまう。
とある出勤日、主人公のヒョンドはバイトのフンと一緒に
仕事に向かう。車内で雑談し、変装したフンが現場に入り
程なく全員を殺害、目的達成を告げた後なぜか階段から
突き落とされる…。実は上司であるヒョンド、フンの殺害
まで会社から指示されていたというワケだ。怖い~!!
ところがフンから家族への遺言を頼まれたヒョンドは、
勤続10年にして初めて会社を裏切り、フンを助けてしまう。
そして遺言どおり貯金を渡しに行ったヒョンドは、そこで
フンの母親ミヨンが、かつて憧れていたアイドルだったと
いうのに気付き、今度は仕事を辞めてミヨンと人生を共に
する…という夢を抱きはじめるのだったが…。
まぁここまでのあらすじだけで、あーそれはムリだよ^^;と
誰でも思いますよねぇ。
組織を裏切った人間が、そう易々と逃げ果せる世界ではない
だろうと、素人の私でも普通に感づきます。
だけどねぇ…そこまで幸せというものを知らなかったヒョンド、
(地味な顔立ち、地味な服装、無表情なソ・ジソブにハマり役)
せめて自由に自分の人生を謳歌してみたかったんでしょう。
何しろ生真面目な男、最優秀勤続皆勤功労賞受賞できます。
後半、いよいよ殺人会社の真骨頂が!登場します。
営業部全員が武装し銃器を構え、ヒョンドを待ち受けます。
入ってきたヒョンド、受付嬢に目配せし「やめておけ」と促す
のですが、いやいやそうは問屋が卸さない、いったん怯んだ
受付嬢の銃口が火を噴きます(怖)やだ、マシンガンだよ~!
もう凄いのなんの、セーラー服と機関銃のごとく撃ちまくり。
さて、一人で戦うヒョンド氏の運命やいかに…。
あり得ないほど壮絶なシーンが絶え間なく続くので、
後半はほぼスクリーンに釘付け。主任も課長も顧問も代理も
み~んな、物凄く撃ち合います。こんな会社見たことない。
映画としては夢のように過ぎ去ってしまう光景なんだけど、
のちのち頭にこびりついて、もし自分の会社の地下に…?
なんて想像が一人歩きしそうな作品。同行には気をつけよう。
(それにしてもこの会社、自社の人間殺しすぎ?じゃないの)