「またしても微妙…」BUDDHA2 手塚治虫のブッダ 終わりなき旅 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
またしても微妙…
手塚治虫の大長編作をアニメ映画化する3部作の第2弾。
超大作と謳った割に前作はさほどヒットせず、こりゃ続編は自然消滅したなと思ったら、ひっそりと公開された。
全てを捨て、苦行の旅に出たシッダールタ。多くの苦しみ、悲しみ、悟りの末、ブッダとして目覚めるまでが今回の主軸。
作品が持つ深いテーマはいい。
命は命の上に成り立ち、繋がっている。
醜い争い、憎悪が渦巻く人の世。それでも人には生きる意味がある。
感動的なエピソードもある。
シッダールタに弱肉強食の命の繋がりを教えてくれた予知能力を持つ少年アッサジ。
コーサラ国の王とシャカ国の女奴隷の間に生まれ、実母を含めシャカ族を皆殺しにしようとするルリ王子の葛藤。
ルリ王子の実母を慕う獣人のような近衛兵ヤタラ。
クオリティの高い映像と音楽がドラマチックに盛り上げる。
だけど…
これは前作でも感じたが、話が飛び飛びで、展開が唐突。思わずツッコミたくなる箇所も少なくない。
格調高くドラマチックな演出はこの世界観に合っているかもしれないが、教育映画かはたまた宗教映画のような生真面目過ぎる作りが少々失笑を誘う。
豪華声優陣は賛否分かれる所。
シッダールタ=吉岡秀隆は前作よりかはマシになったかな?
タッタ=松山ケンイチは本人とは気付かないほど巧み。
天の声=吉永小百合はあくまでナレーション。
ルリ王子=真木よう子はお下手。
やっぱり本作は、中途半端な3部作ではなく、じっくりとTVアニメシリーズ化した方が良かったと思う。
でも、ここまで作られたのだから、完結編でどう締めくくるのか、見届けたい。
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