「何度でも見たい」キャプテンハーロック aramaさんの映画レビュー(感想・評価)
何度でも見たい
どうしてこの映画にこんなに惹かれるのかわかりません。
3回も見に行くなんて、初めてだし、おそらく今後もないでしょう。
子どもの頃にハーロックファンではありましたが、
映画も見ていないし本も持っていませんでしたから
ほとんど忘れていました。
たしかに映像はきれいだし、物語も複雑で含蓄が深く、とても考えさせられます。
でも、それだけだったら、ライフ・オブ・パイなど
他にもそのような作品はたくさんあります。
しかし、この作品には、それだけではない何かの魅力があります。
それがなんだろうとずっと考えていました。
物事が思うとおりにならないどうしようもないやりきれなさ。
私達の日常にもそこかしこにみられます。
そんな時、転機を素直に受け止め前進する潔さ、
何度見ても勇気付けられます。
その他にも、十字架を背負うがごとき登場人物の姿には聖書を、
滅んで繰り返し永遠に至る自由、なんて部分には
福岡伸一氏の「生物と無生物の間」を連想しました。
他にも示唆に富んだ場面が多数あり、何度見ても考えさせられます。
配役について言えば、たしかに小栗旬さんの声は、
昔のハーロックの印象と比べると少し軽めの感はぬぐえませんでした。
しかし、高圧的なイソラの元で捕縛される場面や、気落ちしている場面など
とても難しいバランスを絶妙に演じていたと思います。
今回のハーロック像を考えると、井上真樹夫さんでは艶やか過ぎるし
かといって他の誰が?向井理さんの声ではキラキラしすぎるし、
人選も大変だったろうし、
小栗さんも大変苦労して役作りされたのではないかと想像します。
他の登場人物も魅力的で、本当に引き込まれました。
あえて難を言えば、文庫版に比べてストーリーの省略が多く、
話の流れがつかみづらい部分があったこと、
音楽が意外に単純で、もう少し不協和音や複雑なリズム進行などがあってもよかったかな。
ただこれは作曲家によって向き不向きがあるので評価にはいれていません。
壮大なスケール感や悲壮さは十分に出ていたと思います。
もうすぐ放映終了のところが多いのが残念です。
DVDは購入しますが、この映画は大画面で見たい。
もし関東にお住まいで、土日お時間に余裕がありましたら……。
https://www.dreampass.jp/events
そんなの知ってるよー。でしたら、来月劇場でお目にかかりたいですね~。