「過去作の設定を知らない方が楽しめる気がする」キャプテンハーロック くりあさんの映画レビュー(感想・評価)
過去作の設定を知らない方が楽しめる気がする
3Dで鑑賞。
ストーリー自体はハーロックらしい内容。
衰退した人類と地球への憧憬、虚構の安寧に対する反抗であり、各シーンにちりばめられたそれらしい要素も良い。
映像はすごい。美しい。圧巻。
ただ、せっかくの迫力のある戦闘シーンがあるのに、いまいち立体的に飛び出してこない。こっちに突っ込んでくるシーンで思わず体が避けてしまう、なんてことがない。
CGIだから簡単に3D化できるから3Dにしました、な感じがする。
また、映像が綺麗すぎて、人物が映っていないシーンでの巨大構造物がミニチュアっぽく見えるのが残念。
声優のイメージがどうのという感想もあるようだけど、言われるほど悪くないどころか、むしろ大変良かった。
で、だ。
キャラクターな。
ハーロックといえば、危険を顧みず成すべきことを成し、また、信念ある若者の無謀な行動を助け見守る父性を持った「男の中の男」として描かれた存在ではなかったか。
トチロー以外のことで泣き言っぽい発言をし、真意を問い詰められて口を濁すというのは、松本零士的にこれでよかったんだろうか?
主人公ヤマ、敵役イソラ、裏ヒロインナミがそれぞれ、過去を血肉とした各々の信念と理由を持って行動している分、ハーロックの「過去を克服してない感」がなお気になる。
それから、過去に生きているトチローやミーメはともかく、今を生きてるヤッタランとケイはもうちょっとキャラクターを掘り下げてほしかった気がする。
伝説的存在、絶対的カリスマ、揺るぎない信念の男ハーロックと、それに憧れ目指し越えようとする若者、という構図を期待するとはずします。
そういうところを期待しなければ、映像は綺麗でストーリーもしっかりしてて演技も良しと。
……でもなぁ……ハーロックのはずなんだよ、コレ……。