劇場公開日 2014年4月26日

「「二匹目の泥鰌」とは正にこのこと。」テルマエ・ロマエII Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0「二匹目の泥鰌」とは正にこのこと。

2014年5月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

寝られる

酷かった。
作り手側の良識を疑う作品でした。

前作が好評だった理由。
それは偏に「配役の妙」であったと思います。
顔の濃い日本人が古代ローマの主要人物を演じる、という馬鹿馬鹿しさ。
しかも主演は阿部寛。
真面目な顔で不真面目な事が出来る俳優として適任。
その出オチ的なインパクトが好評の理由だったと。

で、本作。
この出オチ的な作品の続編。
「配役の妙」のインパクトは当然薄れる訳ですから相当な工夫が必要なはずなのですが。
まさかの完全なる追従作品。工夫ゼロ、新鮮味ゼロ。
新鮮味が薄れた分、御丁寧に前作より引き継いだ物語上の欠点がより際立つ作りになっており、作り手側の良識を疑う作品でした。

まず設定云々は別として話全体が荒い。
古代ローマにてルシウスの元に舞い込む設計依頼が個別案件であるため、中盤までの話の流れや行動理由の繋がりが見え難い。
設計依頼→(時間旅行)→現代日本の温泉紹介→(時間旅行)→設計、というセットが複数回繰り返されるため中盤の時点で食傷気味。
話の繋がりが見え難いため終盤の案件毎の要素を寄せ集めて巧いこと纏めた感を出している下りも噴飯モノ。
兎にも角にも物語に全体感がありません。
…ウォータースライダーの件は省略出来たのではないでしょうか?水着サービス?

またルシウスの行動により現代日本側の物語が進展しない点も残存。
現代日本は便利な人材や素晴らしいアイデアを取りに行く場所としてしか機能しておらず。
物語を通して見えるのは「古代ローマ人は馬鹿で無能」という歪な関係性。
技術力や蓄積されたアイデアは現代日本が上である点は或る程度理解出来るものの。
古代ローマ人であるルシウスから新たな発見等を得て変わる現代日本…という下りがあっても良いような気がしますが。。
まるで古代ローマ人から学ぶべき点が一つも無いように見えて嫌な気持ちになりました。

その他挙げていくとキリが無いのですが。
現代日本側を担当する役者陣の演技が総じて酷い、とか。
予算をつぎ込んだであろうCGと群衆が同画像のコピペで萎えた、とか。
奴隷に闘技をさせるのは野蛮で、椅子替わりさせるのは野蛮じゃないという奴隷の扱いの境界線が理解不能、とか。

と個人的にはガッカリ映画だったのですが。
劇場内は殆ど満員で、かつ声をあげて笑う方々が多くいたので。
…正直、劇場内で深い絶望と疎外感を味わっていました。。

「二匹目の泥鰌」とは正にこのこと、と痛感する本作。
小ネタは総じてキツかったのですが。
唯一、松島トモ子の下りは面白かったです。
また中盤以降、上戸彩の衣装の胸部分が目立ち易いモノに変わる点や入浴場面が差し込まれる点は素直に評価したいと思います。
その点では映画「武士の献立」よりも好印象でした。

前作を楽しめて、かつ全く同じものが観たい方のみ、オススメです。

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Opportunity Cost