「ポルノで“本当の理想”は埋められない」ドン・ジョン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ポルノで“本当の理想”は埋められない
ジョセフ・ゴードン=レヴィットの初監督作。
良質な作品への出演が多い彼がどんなものを手掛けるのかと思ったら、何とちょっとHなラブ・コメディ!
家族を大事にし、教会にも欠かさず通うジョン。
体も鍛え、狙った女は必ず落とすプレイボーイ。
理想は高く、顔も胸もケツも“8点”以上の極上の美女。
が、なかなかそんな理想の極上の女は居なく、追い求めた先が…
ポ・ル・ノ・!
とにかく、ポルノ鑑賞が辞められない!
現実ではないけど、理想の極上の女を見ながら、毎晩シコシコ、シコシコ。
現実で一応条件に満たした女を抱いた後でも、シコシコ、シコシコ。
監督も主演も脚本もジョセフ。随分下ネタなアイデアや役柄にしたもんだ。
でも勿論、ただそれだけじゃない。
そんなジョンの前に、二人の女性が現れ…。
まず出会ったのが、バーバラ。
女に不自由しないジョンが一目惚れするほどの理想的な極上の美女!
顔も胸もケツも完璧!
そして何より、エロい!
演じるのがスカーレット・ヨハンソンなのだから、そのエロさはもう堪らん!
最近すっかりタフで魅惑的なアクション・ヒロインだが、こういうビ○チなヤ○○ンも十八番!
しかもそんなセクシー美女とチュッチュチュッチュしまくりなのだから、クッソ、役得だぜ…。
家族にも紹介し(ジョンの家族がこれまたユニーク)、順調な交際だったが…
このバーバラ、見た目とは裏腹に、恋に恋する乙女。
チャニング・テイタムなイケメンマッチョとアン・ハサウェイな美人女優共演のベタなラブストーリー映画にうっとり。
部屋は女の子な感じで、壁にはあの世界的メガヒット恋愛映画のポスター。
でも決定的に関係がこじれたのは、ジョンのポルノ鑑賞趣味がバレた事。
これにバーバラがドン引き。と言うより、嫌悪。
せっかく理想の極上の美女と出会いながら、陰でポルノ見てるジョンもジョンなのだが…
結局ジョンは純粋な恋愛より、いい女とヤりたいだけ。
バーバラも然り。常にスマホをカチャカチャカチャカチャイジッてるジョンの妹(ブレイク直前のブリー・ラーソン)の言葉が非常に的を射ていた。
次に出会ったのが、エスター。
魅力的な年上美女だが、初対面が気まずかった。
何故か号泣していた彼女。後日、改めて再会する事になるのだが…
このエスター、とにかく大人の女性。
驚きなのは、ジョンのポルノ鑑賞にも寛容。オススメのエロい映画のDVDを貸したり。
ジョンが求める理想の極上の美女って訳ではないのだが、何かこう、しっくりくる。
不思議と彼女と付き合うようになるが、彼女には、ある悲しい過去があって…。
ジュリアン・ムーアが色香と悲哀滲ませるさすがの巧演。
二人の女性との出会いがジョンの中の何かを変える。
特に、常に目を見て向き合うエスターの存在は大きい。
AV鑑賞した事のある男性なら分かる筈。(と言うより、ほとんどの男性?)
どんなにスゲー可愛くて、スゲー綺麗な女の子見ても、結局それは性欲を満たすだけのもの。
どんなに顔も胸もケツも理想的な極上の美女であっても、それが“本当の理想”とは限らない。
普遍的だけど、中身。理解し合い、心や愛を埋め合えるような。
ちょっとHでユニークな題材ながら、最後はしみじみと。
初監督作にお堅い作品を手掛けるより、ずっといい。
ジョセフ、好感触!
ただ笑えるだけじゃなく、ちゃんとしたラブストーリーでもあり、ジョセフ監督には好感触!あとジョセフさんは、主役のときはイケメンじゃない役が似合うと思ってます(笑)