「純粋にスカッと楽しめる」土竜の唄 潜入捜査官 REIJI 長井 祥和さんの映画レビュー(感想・評価)
純粋にスカッと楽しめる
本作にエキストラとして出演しているのが、私の近しい人だった
こともあり、妻と観に行った。
ポスターが貼ってあるのを見た程度で、本作や原作の漫画につい
ての事前知識はほとんどない。正直、あまり期待していた訳では
ない。が、予想に反して面白かった。
演出はコミカルで馬鹿馬鹿しいものが多く、大いに笑わせてもら
った。笑いがシリアスな場面と絶妙にミックスされているところ
は、さすが三池監督である。
原作を読んでいないので分からないが、本作ではコミカル路線を
打ち出しつつ、しっかりと任侠道に対する敬意が示されている。
それは例えばヤクを忌避するという精神や、盃を交わす場面の重
要性に示されている。
演出の愉快さだけではなく、本作に出ている俳優も一癖も二癖も
ある陣容であり、見逃せない。こんな人が、という人も端役で出
ている。主演の生田斗真さん、名前は知っていたけれど、映画や
テレビで見るのはほぼ初めて。しかも妻に聞いたらジャニーズ事
務所の人だとか。ジャニーズ事務所というと私も偏見を持って観
ているかもしれないが、凄まじいシーンの連続であり、役者魂を
感じた。また、ナイナイの岡村さんも、そのコミカルなキャラに
、かつて読んでいた静かなるドンの適役の数々が思いだされた。
新境地ではないか。そしてカッコよさとしては堤真一さんである
。古き良き任侠の体現者として本作では描かれている。それを、
嫌味にならずさらっと演じきっている辺り、同じ同性でも憧れて
しまう。本作の最後のほうの場面はご愛嬌ということで。
でもやはり私の注目は、敵役の山田孝之さん。見事に敵役を演じ
きってくれている。ラスト近くでアングルを逆さに、主人公をに
らむシーンがある。そのアングルですら敵意が見事に伝わってく
る。今の日本人俳優の中で、私が最も注目する方である。役柄毎
に別人としか思えない雰囲気を身にまとうあたり、関心するばか
りである。
2014/3/1 イオンシネマ新百合ヶ丘