「人間の挑戦は見果てない」コン・ティキ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
人間の挑戦は見果てない
南太平洋上のポリネシア諸島に住む人々の起源は南米にあり、遥か昔、筏に乗って太平洋を渡った。
当時と同じ筏を再現し、8000キロにも及ぶ太平洋横断に挑戦する。
「ライフ・オブ・パイ」「オール・イズ・ロスト」と漂流サバイバル映画がプチブームだが、本作が驚きなのは、実話である事。
自身の学説を証明する為、前人未踏の大航海を成し遂げたノルウェーの学者トール・ヘイエルダールと仲間のこの偉業は本やドキュメンタリー映画になっているのにも関わらず、恥ずかしながら全く知らなかった。
1951年のアカデミー賞ではドキュメンタリー賞を受賞、是非ともこちらも見てみたい!
ポリネシア人のルーツや学説の証明と言うとお堅く捉えてしまいそうだが、海洋冒険ドラマとして純粋に楽しめる内容になっている。
旅の始まりは理想と夢に満ち溢れていたかもしれない。
しかし、当然の如く易しくはなかった。
大嵐、海水で筏が腐食、追い討ちをかけるかのように鮫の襲撃…。
あくまで先人と同じ方法での航海にこだわるトールへの仲間の不満、極限状態に置かれピリピリしたムード、仲間割れ…。
筏という異色の限定空間で繰り広げられるドラマはハラハラドキドキが否が応でも盛り上がる。
その合間、鯨の群れや光るクラゲとの遭遇は神秘的。大海原の映像は美しく、スケールも感じる。
最後の難関、ある方法を使っての危険な暗礁越えは、波も音響も迫力充分。
ヨアヒム・ローニングとエスペン・サンドベリの監督コンビは「パイレーツ・オブ・カリビアン5」の監督に大抜擢。これはなかなかのナイスな人選では? よって、「パイレーツ5」は期待出来そう。
苦難の挑戦で挫折しそうになる事は勿論ある。
それを奮い立たせたのは、自らの強靭な意志とリーダーシップ。
そして仲間の存在。
人間の挑戦は見果てない。
惜しまれるは、2時間という尺が短いのか、展開に引き込まれるのか、漂流サバイバルが少々呆気なく感じてしまう事。
もっと映画では描き切れないドラマが当然あった筈だが、それを差し引いても見応えはアリ!
偉大な挑戦と先人の知恵に敬意を評したい。
近代さんこんにちは
新作が出ていたとは知りませんでした。
1951年版観ましたよ、40年前に沖縄の海辺でです。さとうきび畑に囲まれた臨時野外スクリーンだったのでスクリーンは風に揺れ、さとうきびの葉のざわめきは大海原の風音そのものでした。
忘れられない思い出です。
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