「外交と内交、どちらも手回しがいい」私が愛した大統領 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
外交と内交、どちらも手回しがいい
第32代アメリカ合衆国大統領フランクリン・デラノ・ルーズベルト。任期は1933〜1945年までの長きに渡り、世界恐慌や第二次世界大戦といった激動の時代を治めた人物だ。
困難な国政を乗り切る一方で、プライベートな時間を積極的に愉しむ姿が見られる。そのお相手が従兄妹のデイジーだ。質素だが賢く癒し系のデイジーとともに過ごす時間が増えていく。大統領の求めにいそいそと出掛けて行くデイジーを演じるローラ・リニーの笑顔がいい。この二人の関係の行く末が話の中核になる。
ドイツとの開戦が避けられない状況の中、イギリスの国王ジョージ6世夫妻を自邸に招くエピソードが最大の見せ場。
若い国王を手のひらの上で転がすしたたかな外交手腕を見せる。
ルーズベルトの思惑が読めずに苛立つ国王夫妻を演じるサミュエル・ウェストとオリビア・コールマンが上手い。
ルーズベルトにはビル・マーレイ。コミカルな演技が多いビル・マーレイだが、気の良さそうな顔の下に公私共に思い通りに事を運ぶしたたかさを隠し持つ一人の男を、まさにしたたかに演じ切った。
今のようにパパラッチもおらず、記者団との間には暗黙のルールもあって、人気もあったルーズベルトは好きなように振舞ってスキャンダル騒ぎとは無縁だったようだ。
そんなルーズベルトも、どうやら母親の影響力は大きかったようで、ここでまた顔色を窺わなければならない女性がひとり現れたことになる。
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