わたしはロランスのレビュー・感想・評価
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ドラン監督の今後へ期待
男が女になる。
映画や小説で幾度となく扱われてきた題材だけれど、この作品は男女の「普通」のラブストーリーとして描いていた。女になった男だけでなく、彼の恋人の女性にも感情移入させる。むしろ観客が抱くであろう感情をスクリーンに反映させていたのは彼女の方。なのでこのタイトルは個人的には違和感あり。
けど、ロランスのターニングポイントを境に物語も演出も一気にテンション上がっておもしろくなる。
前半は、いかにもなセリフが多くていまいちのれなかったり、ちょっと奇を衒い過ぎで結局ありきたりなどこかで見たことある表現になっているシーンもあったんだけど、全体としては好きな映画。印象的な音楽の使い方と色鮮やかな映像が好き。
24歳でこの作品…ドラン監督への期待とプレッシャーのデカさは半端ないだろうなあ。
繰り返されるふたりの幸福と喪失、鑑賞後の感覚は、江國香織のコメントがピッタリきた。
「ここには豊かな哀しみがある。哀しいのに幸福感のある映画。人生とおなじだ」
それにしても後半のロランスが小室哲哉に見えて仕方なかった。似てない?
エモーショナル
映画館で2回鑑賞。1回目は部分的に好きなシーンは沢山あったが長すぎて最後の方寝てしまった。2回目は最初から最後まで集中して観れたけど、全体通してめちゃくちゃよかった、長くても納得できた。
この映画の広告でよく出てる、服が降ってくるシーンとかはミュージックビデオみたいで確かに新しい感じがしてお洒落で都会的で、アート系映画と言う人もいるし、視覚的にも美しいがそれよりも感情表現がめちゃくちゃ良い。MVみたいなシーンよりも役者の表情を撮っている部分の方が美しい。
特にロランスと母親との関係性の描き方が絶妙、ロランスがバーで頭突きかました後泣きながら母親に電話するシーンは見てるこっちも絶望的な気分になるけど、それで終わらない、ちゃんとスッキリさせてくれる。
フレッドが土曜のランチタイムのカフェでキレ散らかすシーン、再会した後の喧嘩中にフレッドが思わず打ち明けるシーンもたまらない気持ちになる。
白黒つけられないことややり場の無い感情、マイノリティの視点の描き方が秀悦。
『ローランス・オールウェイズ』のほうがしっくりくる。
わたしはロランス。なんだか人に言うにはこっ恥ずかしいタイトルである。
監督のグザヴィエ・ドランは「天才」なのかはわからないが、他にはないキレた感覚の持ち主である。
彼の色彩感覚は新鮮で、4:3のアス比での画面の切り取り方はみていてとても痛快であった!
マイノリティが居場所を求め対人、環境と折り合いをつけていくお話なのだが、着地の仕方も味わい深いものがあった。
ただ、主人公ロランスのような問題を抱えた人への知識も(本当の意味での)理解も持ちあわせていない僕のような人はこの物語を「所詮他人事」とし、自分の人生に投影した上での真の感動とやらを味わうことができないだろう。もっと社会的マイノリティ全般の話に昇華していればこうはならなかっただろうが、そうなってしまってはこの映画の魅力そのものが損なわれる。
要するに、そういうバランス感覚も含めてキレまくってるってコト。一見の価値は高い。
アートとしての映画
映画なんだけど、同時に映画の中でも新しい芸術を確立してしまったような作品。若い監督の感性が、火花のようにスクリーンに飛び散っている。考えないで、感じる映画。私はこの映画が大好きだ。
ストーリーはやたらと長い。浮き沈みも激しい。全体的には、なかなか重い話だ。セクシュアリティがテーマだけど、もっともっと、人としての在り方、他者との関わり、愛について等、シンプルで根源的なことを描いてる気もする。
でも、難しいこと除いて、とにかくクールな映画なんだと言いたい。
切り取りたくなるような場面、台詞が多々ある。音楽の使い方も好き。
究極の愛に苦悩する二人…でも長すぎる…
イケメンで男性的な容貌で周囲からも好感度の高いロランスが突然の女性になりたい宣言。恋人のフレッドはいままで男女として愛し合ってきた時間が突然崩れていくこと、今までの恋愛が嘘だったのではないかという疑念から、取り乱していくが(当たり前ですがね…)、ロランスというパーソナリティーを愛し、その彼の決意に協力しようと決心する。
学校を首になり失意のロランスに対して、子供を身ごもり不安定な気持ちのフレッド。お互いがお互いに対して自分の気持ちを押し付けることでしか会話ができず最初の別れが訪れる。
いや、女性になりたいっていう人の子供を身ごもるって、本当にパニックになるし、ロランスを尊重して自ら身を引くフレッドの気持ちを察すると、やはりロランスという人間が好きならも、男女としてつきあってはいけないことが分かっているからこそ、好きなのに彼のために身を引くっていうのは、本当によくわかるし、何も知らないとは言えロランスに殺意がわく瞬間でした(笑)
別れ話をするフレッドに駄々をこねるロランス…いや、完全にお前のせいだって。
そこから、出会いと別れを繰り返していくわけですが、とにかく長い…
最後には普通の女性としての幸せを手に入れながらも満たされないフレッドに、一通の詩集。ロランスが自分を見守ってくれていたと錯覚したのか?それとも、今の満たされない自分によかった時代を思い出したのか?再開を果たし激しく求め合い、さらには逃避行に。
その逃避行で待ち受けていたのは新たな別れ…
最後の方のシーンで「自分が女性にならなくても、いつかは分かれていたと思う」という感じのことをロランスが言うけれども、なんかそのシーンに3時間が凝縮されている気がして、悲しくなりました。
そもそも、お互いの愛の意味合いが最初から違ったし、それをお互い押し付ける形になり、お互いの妥協点が見いだせないから再会と別れを繰り返したわけで、とくにロランスのフレッドに対する愛は求めることが強すぎて、きっとうまくいかなかっただろうな…っていうか行っていないしと感じざるを得ないのが、悲しかったです。
という、深い深いお話なのですが、本当に長い…。二人の愛を語る上で欠かせないエピソードもたくさんあるんだとは思うのですが、間延び感が半端なくて…最後のシーンにたどり着いた時の疲れが半端ではなかったです。
演出も過剰に押し付け感が強かったようにも思えました。それぞれのシーンで感情を表すようなシーンの演出がありましたが、「これなんだ?」「このシーンの尺ながくね?」と映画の世界から現実に引き戻されることも多く、なかなか集中できなかったのは残念でした。
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