「スペシャル」わたしはロランス 3i9uさんの映画レビュー(感想・評価)
スペシャル
私が発する言葉を理解し、同じ言葉を話す人を探すこと。自分自身を最下層に置かず、マイノリティーの権利や価値だけでなく、“普通”を自認する人々の権利や価値も問う人を……
…愛がすべてを変えてくれたらいいのに……
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ミニシアターでしか上映していないなんてもったないなさすぎる…!
シンプルに言ってしまえば、女になりたい男の話。でも、ただのトランスジェンダーの話じゃない。壮大なメロドラマ。3時間近い長尺映画だけど間延びしてない。
こんなにも人の機微を美しく表現できるなんて。なんと監督は若干24歳だという。本人もゲイだと公表しているから自伝的な部分もきっとあるのだろう。
自分らしくあることを考え、どんなに自由を求めても、しがらみに囚われる自己と他者がいる。
何より恋愛は、対人との掛け合いであるから、殊更に惑う。相手の全てを理解することは出来ないし、かといって自分の生き方を曲げることも難しい。折り合いをつけることは、便利で生き易いだろう。だが、偽りの人生を送りたくない、と主人公は言うのだ。
女性が好きな男性。女性として生まれ心が男性の人。男性として生まれ女性として生き女性が好きな人。
多様性に溢れた世の中だ。抑制し鬱屈した社会ではなくなればいい。
何を普遍的として何を普遍的でないとするのだろうか。彼らはそれが普遍的で日常的なことなのだから。
そしてこう言うのだ。
私たちは"スペシャル"なのだと。
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