「寄り添う孤独」クロワッサンで朝食を arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
寄り添う孤独
結婚と離婚、子育て、そして長患いの母親を看送って、抜け殻のようになっていたアンヌに紹介されたのは、憧れの地パリでエストニア人の年配女性の世話をする仕事。
彼女の雇い主となるフリーダは、年上の夫が亡くなった後も数々の恋愛遍歴を重ねてきた女性。
家族に人生を捧げてきたアンヌ、片や奔放で自由な言動で敵を作りやすいフリーダは友人もなく孤独な一人暮らし。彼女を気遣うのはアンヌに仕事を依頼したのもかつての年下の恋人ステファンくらい。
故郷は同じエストニアでも二人の生きてきた人生は対照的だ。
そんな二人が出会い、そこにどんな科学反応が起きるのか?
フリーダにとってアンヌは捨てたはずの、でも忘れることは出来ない故郷の象徴だし、アンヌにとってフリーダは夢見たパリで華やかに生きてきた女性。
二人はお互いにとって、あったかもしれないもうひとつの人生なのだ。
若い頃から、数々の作品でファム・ファタールを演じてきたジャンヌ・モローは、老いても尚年下の元愛人に嫉妬するフリーダという役に説得力を与えているし、ライネ・マギも憧れの街でどんどん若返り生き生きとしていくアンヌを体現。
二人に、人は一人では生きていけないということを改めて教えられた。
コメントする