「憧れのパリへ来てみたけれど」クロワッサンで朝食を ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
憧れのパリへ来てみたけれど
邦題の「クロワッサンで朝食を」から漂うどこか優雅ぽさというか、パリやらジャンヌ・モロー出演といったイメージからも想起させるのは、小粋でお洒落なフランス映画。
けど、その向きで鑑賞するとちょいと肩透かし食うというか。
何だか色彩はそこまで鮮やかではなく、少しザラついた画作り。殆ど笑わずやたら陰のある表情の主人公。
あ、これはポップな映画じゃないなと。実際に中盤以降からは見方を変えました。そこそこ辛辣な映画だなと気付いて。
何て言うか、所謂『ドライビング Miss デイジー』や『最強のふたり』辺りの、「本来なら出逢う筈のなかった二人」の友情ストーリーに行くのかと思いきや、少し展開はそこから違う方角に舵を切りますしね。
二人が心を通わせる切っ掛けとなった描写が皆無なんですよね。何となく仲良くなって何となく喧嘩の山場を迎えるみたいな。
でもそれは友情じゃない。
三角関係未満の、なんというかちょいと歪な家族の物語に向かっていくというか。
会話の内容なんて「誰それと寝た」「主人と愛人」みたいなセックス絡みでドロドロとしてるのに、進んでく展開はサラサラしてるみたいな。
ま確かにハッピーエンドなんでしょうけども。
考えれば考えるほど、主要登場人物の関係性が歪です。
これが小粋なんでしょうか。
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