言の葉の庭のレビュー・感想・評価
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想いのこもった言の葉
Amazon Prime Videoで鑑賞。
ノベライズは未読。
なんと美しい物語なのだろうか。新海誠監督ならではの映像美に圧倒され、逢瀬を重ねる男女の物語を鮮やかでエモーショナルに描き切った構成と手腕、脱帽の一言です。
「君の名は。」でもそうでしたが、映像に物語の機微や登場人物の心象を絡み合わせるのがめちゃくちゃ上手いなと、改めて感じさせられました。これはもはや「詩」じゃないか。
裸足の全力疾走。雨の吹き込む階段で溢れ出す想いをぶつけ合い、心が通い合った瞬間を祝福するかのように雨が止んで、雲の切れ間から射し込む陽光。美し過ぎて落涙しました。
[余談]
「天気の子」でも雨が効果的に使われている様子。お天気が重要な要素であることで関連性を感じ、本作を鑑賞しました。
46分の短い上映時間にこめられたものの濃密さ、計り知れない。秦基博の主題歌も良く、最高の余韻に浸れました。
※修正(2024/01/29)
あとちょっとなんかこう・・
映像美
年上女性
総合70点 ( ストーリー:70点|キャスト:75点|演出:75点|ビジュアル:85点|音楽:70点 )
雨が降る公園で午前中にのみ二人は会う。緑をいっぱいに映す水面が、ここが世界有数の大都会の中にある憩いの場所となる。雫が落ち水が流れるような透明感のある音が風景に溶け込んだピアノが心地よい。
二人の人生はほんのちょっと交差しただけ。それでもその出会っているときは、困難な夢に向かう少年と追い込まれた女性が自分をさらけ出して本当の自分になれてちょっとだけ救われる時間だった。
風景やちょっとした場面の描写に言葉を使わず思いを語らせる。そうかと思えば主人公たちの語らいを入れて文学的に状況と気持ちを表現する。相変わらず新海監督のそんな演出が上手い。映像も初期の作品よりさらに進化している。
脚本の方は、会ったことがあるという会話・和歌・仕事・女性のつぶやく不安と、伏線を張って回収が上手い。
私事だが、今月ある場所で会ったある男の人は、彼が中学生の時の教師と結婚したのだと教えてくれた。そんなことが実際にあるんだなと驚いた。最初はちょっと非現実的と思った2人の関係だし2人がその後どうなるのかわからないが、この話を聞いてもっと現実的に感じた。『君の名は。』でもそうだったが、新海監督は年上の女性が好きなのかもしれない。
泣けるアニメ
ピュアって何だろう
この二人の関係を表す言葉がみつからない。
純愛でもないし、友情でもない、共依存とは違うし…大人の女性と男子高生の居心地のいい不思議な関係を描いた映画です。
ファンタジー要素が全くないとアニメの必要性ある?と思うのですが、都会の雑踏や公園が本当に美しい。
中でもテーマの雨が、すごくきれいで、こんなきれいな雨見たことないと思いました。
謎の女性と距離が近くなっていくことに、ドキドキしたりはしませんでした…残念ながら。
リアルな風景ゆえに、フィクションに感じず、清潔感を感じなくてもやもやしました。
謎の和歌を言って去るゆきの、自分の正体に気づいて欲しいけど欲しくない心情ゆえの行動…思春期か!
大人の女性が男子高生に何やってるんだろう。
ゆきのの靴を作ろうと足を触るシーンは、秋月の真剣さが垣間見れる名シーンなんだろうけど…。
ずぶ濡れになって、家に入れるのか…がっかり。
秋月は告白して振られて、数分後には、好きじゃないと非難する言葉を轟々と浴びせる。
いかにも高校生ぽくて、大人に成長したら…という気持ちも興ざめします。やっぱ子供だな、と。
純愛物は好きですが、やっぱり現実だったら?と考えてセーフかアウトかで、キュンとするか興ざめするか分かれます。
この年齢なら彼の淡い恋心に気づいてもいいはず。
自分のために離れなかった、ゆきのは好きになれませんでした。
価値のある45分
タイトルなし(ネタバレ)
映像と音楽はいつも美しい。それが保証されているのは、もうよーく分かっているし、目に嬉しいのはありがたい…のだけども…この監督のストーリーと自分の好みが合わない…。
恋愛物が苦手というのがまず致命的なのだが、それにしても言の葉の庭は「何だよこれ…」と思ってしまった。レビューでよく見る「教員と生徒の恋愛はキモい」だとか、「先生が自立できてない大人でイライラする」だとか、そんなことはどうでも良い。両者の、つらいことがあって、将来への淡い夢があって、人生がやりきれなくてこうなっちゃった感じもよく分かるのだが…
だが後に残るこの「うわぁ…何だこいつら…」という気持ちは何なのだろうか? キャラの行動が許せる許せない、現実味が無いとかあるとかで引っかかるわけでももない(あったらアニメなんか見ない)。
ストーリーの中身が合わないからという理由で新海作品が見られないのはまことに残念なので、一度恋愛に全く触れないストーリーを作ってみてほしい…が、そういう客はそもそもお断りなのかもしれない…
1つのドラマを観た。
古典が好きな人はきっと好き
面白いっていうより趣がある
雨の日公園の一角で静かに流れる2人の時間、万葉集の歌を通じたやりとり、歩き出せない女性に歩き出す靴を作りだす少年、立場や距離の埋められない隙間…でもそこには愛がある
ゆったりとしていて文学的で素敵だった
SFでもファンタジーでもないありそうでなさそうな思春期ショートストーリー
高校1年生のタカオは、登校時に雨が降ると新宿駅南口から徒歩で新宿御苑に行き、日本庭園の屋根の下でスケッチを描くのが日課。梅雨入りしたある日タカオがいつもの場所に行くと先客が。その女性にふとどこかで会ったような気がしたタカオは声をかけると、一旦は「いいえ」と答えた彼女だったが、「鳴る神の 少し響みてさし曇り・・・」と知らない短歌を呟いてその場を立ち去る・・・思い切りベタなファンタジーに舵を切った新海監督の前作『星を追う子ども』の次は、SFでもファンタジーでもないありそうでなさそうな思春期ショートストーリー。
雨雲に覆われた新宿に隣接する異空間、新宿御苑で雨の朝にだけ成就する逢瀬で少しずつ心を通わせる二人がそれぞれに悩みを抱えながらも前に踏み出そうとする姿を静かに見つめる物語に寄り添う雨音は、タカオが異空間の外で起こっていた事件を知ったことで足音を荒げる。シズル感に満ちた風景の中で主題歌に誘われて訪れる静かな結末がしっとりと胸に沁みわたる実に切なくて美しい小品でした。
雨の切なさ≒恋の儚さ
新海誠の作品は相変わらず男女の絶妙な距離感の描き方が巧み。
詩的な台詞も、雑多に溢れているライトノベルの稚拙な臭い言い回しとは一線を画しており情緒を感じられる。
雪野と秋月は何回か会う内に、雨の日が恋しくなりお互いにもどかしい日々を過ごしていた。しかし、その理由はお互い違っていた。
雪野は秋月と会話することにより病状が良くなったがそこに恋愛感情はなく、気晴らし程度の存在であった。(年の差や師弟ということも関係してると思われるが)
対する秋月は、雪野のことをよく知らないといいつつも恋愛感情を抱き思わせぶりな態度を取ったと勘違いする辺りに男女の違いが表れていると読み取れた。ただ、雪野に一切の恋愛感情がないという訳ではなさそうなのでいつか結ばれることを願うばかりである。
秒速五センチメートルとは違い「いつか遠くまで歩けるようになったら会いに行こう」
と、前向きに締めくくられており自分の中で美しい物語という位置付けになった。
秋月 孝雄(あきづき たかお):主人公
雪野 百香里(ゆきの ゆかり):ヒロイン
文学的なトーン
社会的な課題に悩む男女が関りあいながら、同時に自身と向き合い、成長しようとする話。
靴デザイナーという困難な将来を志す、ややしっかり者の高校生が男主人公。自分の夢の実現に自信を持てないまま、靴の勉強を続けており、家庭事情や学校生活といった、自分を拘束し努力を妨げるものにやや嫌気がさしている。
一方、女主人公は後に明らかになる通り、いじめにあって仕事に行けないでいる教師。両者は、雨の日の公園で会ううちに惹かれあう。
二人はその交わりの中で次第に自己を自覚し、それぞれの道を歩んでいく決意をする。
全体に、文学的なトーンが漂っている。短歌を詠うシーンがあるからというだけでなく、全体の演出のアイデアが文学的に発想されているように思えた。つまり、色彩や構図よりも映り込んだモチーフの持つ文化的意味や言語的に連想される意味が、豊かな情報を持っているような表現に見えた。
時間、季節の進行とストーリーが密にリンクしており、とりわけ各季節の雨の違いを物語の変化と合わせて取り入れているあたりが分かり易い。ほかにも、植物や鳥などといったモチーフに季節の変化を、公園という場所は現実と隔離された空間として機能する等、様々に意味を込めている。
言葉を使ったストーリーの見せ方も絵と同等に大きい。二人の主人公の違いや共通点をナレーションの文の構造で上手く対比を作って見せたり、その他様々な言葉の関連性などで、二人の心境やストーリーの変化を引き立てていく。
二人の人物に焦点を当てるため、対比を意識した脚本や構図が目立つ。男主人公の靴好きは、靴を介した演出に結び付く。特に、仕事に行けない女の状況を、「歩けなくなった」と表現するのは顕著で、靴を作れるようになろうとする男が、彼女に変化をもたらすものであることが仄めかされる。
一方で男からみると女は最初、憧れの大人社会からの使者で、謎めいているが魅力的なものとして映る。大人社会の謎めきは異性の謎めきともリンクしており、女の足を採寸するシーンは、自分の理想の職業への接近であるとともに、異性への接近であり、二人の関係が同時に変化する象徴的なシーンである。(実際にはそのワンシーンのみでの急激な変化はないが。)このシーンはこの映画の一つの見せ場であり、手と足、それに伴う二人の姿勢や位置関係等で味わいを出しながら、繊細に、また官能的にも見えるように描かれている。
二人にとって互いの関係が近づくことは、それぞれにとっての課題解決へと向かうことであり、課題から逃げた結果行きついた場所の雨の公園は、俗世から離れ自分と向き合うヒーリングの空間であって、各自の課題解決のために必要な逃避だったのだと分かる。
絵の魅力としては、幻想的な色彩の描写ももちろんいいが、かえって現実にある物を見せられた時にちょっと驚く。実際にある場所を使っていたり、広告、主人公を迷惑そうに見る通勤途中のおじさん、工事中のエレベーター、授業後の黒板など、既視感のあるものがこの画風の世界に現れる事で、あれっと目を引く。
この作品においては、周辺環境の全ては、二人の男女の関係の変化を強調・説明する舞台装置であり、重心は常に人物に置かれている。
何よりも一番好きな作品
ふれれば壊れてしまいそうなほど繊細な雪野先生と、
高校生にしては大人びていて周りの同級生とは少し違う空気をまとう孝雄。
大きく言えば恋愛モノですが、
二人の感情があまりに繊細で現実的なため、
恋愛模様というよりは人間の脆さをすごく感じる作品でした。
「人間なんてみんなどっかちょっとずつおかしいんだから」
「そうかな」
「そうよ」
「私ね、うまく歩けなくなっちゃったの、いつの間にか」
「仕事のこと?」
「うん、色々」
この会話のテンポというか、絶妙な距離感が本当に好き。
この少ない言葉にどれだけの思いが詰まってるか。
なにより言葉が丁度いい。言葉のチョイスもそうだし、無駄がなく説明じみてないセリフがとても心地よい。
小説を読むとより一層この会話の重みがわかります。
それに、「言の葉の庭」というタイトル。
これ以上ないですよ。
言葉の響きも内容とのマッチングも。
一晩中語りあかせるくらい、ここには書ききれないくらい、本当に大好きで大切な作品です。
出会うのがもっと後になっていたら人生変わってました。
全253件中、101~120件目を表示













