「頑張れ靴職人!」言の葉の庭 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
頑張れ靴職人!
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靴職人なんて聞くと、すぐにあのアカデミー賞俳優が浮かんで
しまう映画マニアにとってこんな職業を15歳の青年が選ぶかと
思いきや、この主人公孝雄には所謂子供っぽさがみじんもない。
むしろ27歳という設定の雪野の方がめっぽう子供っぽく見える。
それもそのはず孝雄には生活がまんべんなく圧し掛かっていた。
彼が作るお弁当のこれまた美味しそうなこと!こんな15歳なら
私だって欲しいわ(息子に♪)と思ったくらいだ。雨の日の庭園
で出逢った二人は互いの素性を明かさずに逢瀬を続けていくが
青年の年上の女性への憧れが好意に変わり始めた瞬間、彼女の
正体が意外なところで判明し、あーそういうことがあったのと
随分辛い気持ちになった。好きな職業に就きたくて頑張る青年
に対し、好きな職業に就いているのに挫折し苦しんでいる女性。
これまた15歳とは思えない労わりや愛情表現が彼から発せられ
た時、雪野が居た堪れなくなった気持ちは私にもわかる。好き
だという気持ちに忠実な高校生(マクロン氏じゃあるまいし)の
真直ぐな思いに応えられる自分であるかどうか。立場の違いに
苦しむことも目に見えてるよな…とまたこの監督お得意の終焉
まで暗い気持ちでいたのだが、今作にはほのかな未来が見える。
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