サイド・エフェクトのレビュー・感想・評価
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久しぶりにソダーバーグの世界観を堪能
ソダーバーグ監督作品、ジュード・ロウ、ルーニー・マーラ、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ出演という情報だけで見たんだが、なるほど「サイ・エフェクト=副作用」という本作のサスペンスを楽しめた。
薬の副作用という点と、夫殺しにまつわるある犯罪計画に関する副作用という意味で、ダブルミーニングになっている。久しぶりに、ソダーバーグらしい雰囲気を堪能できて良かった。
ジュード・ロウ、ルーニー・マーラの二人はもちろん良いのだが、キャサリン・ゼタ・ジョーンズをキャスティングしたのも、如何にもな配役でミスリードに繋がっていて良い。
気持ち悪い
冒頭なかなか面白いドラマにならず本当に退屈で、この映画は面白いのかと思ってレビューを読んでみるほどで、評価が悪くなかったので我慢して見ていると、夫殺しからぐんと面白くなった。
しかし最終的に、鬱の振りをしていた妻が、本当に気持ち悪い女で、自信満々のレズだし、病院の電話で発狂するし、どこまでが病気の演技なのか全然分からない。映画とは元々役者が演技をしているもので、演技の中で演技をするというすごく大変な役を見事にやっていると思うのだけど、それにしても気持ち悪い。
主人公の奥さんも怒ってばっかだし、犯人とレズの関係にある女医に至ってはバッグで主人公の頭を叩くほどだし、女性不振になりそうだ。一人くらいまともな、可愛らしい女性を描いて欲しいと思った。
犯人と女医は、いくら物語とはいえ、どうしようもなくバカでエゴイストで、見ていて気分が悪くなる。いい加減にしてほしい。
ドラッグに依存する社会の闇
収監された夫に面会する姿は貞淑な妻そのもの、しかし、出所した夫を迎えた彼女は、夫の全てに幻滅しているように見える。
ルーニー・マーラ演じるエミリーの視線の行方、表情のひとつひとつが不穏な空気を醸し出しているが、それが終盤への伏線にもなっている。
一見、抗鬱薬の副作用、製薬企業、医師の倫理といった現代社会の闇を暴く社会派の作品。しかし、エミリーに夢遊病の副作用を伴う抗鬱薬を処方した責任を問われ、仕事も家族も失いつつある医師バンクスが、エミリーの行動を不信感を抱き、真相解明に乗り出すあたりから、個人の隠れされた欲望、心の闇に迫るストーリーへと変貌する。
それにしても、うつ病ひとつに何種類もの薬が存在し、当たり前のように薬を服用し依存するアメリカ社会の現状に驚く。
それは、“うつ病”が如何に儲かる病気か、多くの人々が悩む現代病であることのあらわれだろう。
貞淑な人妻とモラルを失った傲慢な女という一人の人間の中に存在する二人の女を演じ分けたルーニー・マーラ、たまたま診察を担当したばかりに仕事も家族も失いそうになるも一転反撃に出る強かさも併せ持つバンクスを演じたジュード・ロウ、エミリーの魔性に魅入られ道を踏み外していくシーバート医師を演じたキャサリン・ゼダ=ジョーンズ。この三人の騙し合い、演技合戦が最大の見所。
一時的に薬で鬱状態が緩和されたとしても、鬱状態に陥った根本的な原因がなくなる訳ではない。
それは、夫さえいなくなれば全てがうまく行くと思い込んだエミリーの短絡的な考えの元になっているように思えた。
色んな意味で恐いわ
やっぱりエミリーが真実を話すまでは別の予想をしとった。女の人は恐ろしいと思ったけど、バンクスの方が一枚も二枚も上手だったね。チャニングテイタムは早い段階で殺されて可哀想だった。
精神科医の権力、怖すぎ
上手いなぁ。
社会性とエンターテイメントの両立、そして社会性に少し重りを置くのはさすがに上手い。
これは一見ルーニーが非道な悪女みたいに見えるけど、強大な権力を持ちすぎた二人の精神科医の前ではルーニーのしたたかさなど非常に浅はかなものでしかない。
これは神々の対立を模する二人の精神科医がルーニーを取り合うゲームでしかないのであり、ルーニーの主観では悪女として振る舞っているのだが、その実、ルーニーは二人の巨大な精神科医の間を木の葉のように振り回される弱い立場でしかない。
そこまで精神科医に強大な権力を与えてしまったアメリカこそを批判しているのだろう。
そして一方の神が勝ち一方の神は負ける。二人の神のいさかいで最も大きい代償を払うのは、もちろん翻弄される弱き人間に決まっているのだ。
前半乗り切って後半スカッと
面白かった。「やられたらやり返す倍返しだ」と言う感じ。ただ、題材が重すぎて前半しんどいし気が滅入る。後半はスカッとする。キャサリン=ゼタ=ジョーンズがバットマンのジョーカーに見えた。しかし、このネタはやっていいものなのかしら?
見事。
「コレが最後だなんて…」なんて惜しさを思わずにいられない、スティーウ゛ン・ソダーバーグ監督の劇場用映画引退作。
騙し騙され、騙され騙し…最後にちょっと安くなるのは残念ですが笑
息をつかせぬ映画運びと、古いカーテンのようなソダーバーグ色が素晴らしい、お見事なサスペンス!
…最後にちょっと安くなるのは残念ですが!笑
監督、今後はテレビドラマ界に活躍の場所を移すとのことですが…
ハリウッドですらそんな現状に、映画好きとして今後に漠然とした不安が禁じえませんね…涙
主役
さすがソダーバーグ。静かな映像とサスペンスのギャップでみせる。
だけど、主人公が安定しない構成と後半の展開の忙しさもあって、中盤からは観ててちょっと居心地が悪い感じがした。
これで映画監督ラストってのは寂しい。また撮って欲しい。
起承転結がしっかりとしている映画
最初に言うとこの映画個人的には大好きです。
様々なキャラクターが絡み合い一体誰が悪いのか?を論点にストーリーは進んでいきます。
ストーリーは複雑に見えても最後はきちんとした糸としてつながりとても気分は爽快に終わります。
サスペンス好きの方にはたまらない1本となると思います。
ルーニー・マーラの独特の世界観がたまりません。
脇を固める俳優陣たちもとてもたまりません。
チヤイニング・テイタムはとてももったいない使い方してますが、それもまたこの映画だからこそ合ってるのかもしれません。
サイコアナリスト
ダニーボイルのトランスとちょっと似てる。どちらもサイコアナリスト絡みなだけだが。好みはダニーボイルだけど、ソダーバーグではベストなのではと思う。でも本当にソダーバーグの映画は粗い。サクサク撮ってる感が良い感じではある。
面白かった!
中盤~後半ストーリーが一気に展開していき、瞬きするのも惜しいくらい。
結末で得られる爽快感も最高でした。
あと、ルーニー・マーラの演技がとにかく素晴らしい。
DVDが発売されたらまた観たい作品です。
嘘とビデオテープ
ソダーバーグ監督の劇場引退作「サイド・エフェクト」を観ていたら
監督の長編デビュー作「セックスと嘘とビデオテープ」を思い出してしまった。
二作の主題が呼応しているような気がした。
(デビュー作が一番好きだったので、勝手にそう思ってしまっただけかもしれないが…。)
デビュー作は、嘘から逃れようとした話だった。
本作は、嘘にのめり込む話だった。
デビュー作の登場人物たちは、ビデオカメラの前で自分をさらけ出そうとした。
本作では、ビデオカメラの前でも嘘をついた。
デビュー作では、登場人物たちの人生が変化した。(人生が変わったというのは大袈裟かもしれないが、何かが変化した話だった。)
本作では、結局何も変わらなかった。嘘に閉じ込められたままだった。
二つを比べると、本作は暗い。救いのない話のようにも思える。
だけれども、不思議と暗い気持ちにならないのは、ソダーバーグ監督が今まで描いてきた他の作品の中で、
「選択するのは自分だよ」と言ってきたからだろうか。
人は
「セックスと嘘とビデオテープ」のグレアムにもなれるし
本作のエミリーになってしまう可能性もある。
どちらを選ぶかは自分自身なんだなあと思った。
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他に本作がとても良いなあと思った部分は、初めと終わりに茶色のビルが映る所だろうか。映像と音楽がカッコ良かった。デビュー作のオープニングを思い出すカッコ良さだった。
近年、ソダーバーグの映像にあまりカッコ良さを感じなくなっていた。(自分が歳をとって感覚が鈍ってきたせいかなあとも思う。)本作のカッコ良さが懐かしくもあり新鮮でもあった。
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追記
こんだけ褒めといて何だが、ストーリー自体はC.アルレーにグリシャム「陪審評決」を足した感じで、ミステリ風味というか昼メロ風味だなあとちょっと思った。ガチな社会派ミステリではなく、あくまでミステリ風な所が良いのかもしれないなあとも思った。
うますぎる…
面白かった。
前半の薬依存社会の淡々とした描写。
皆、何かしら飲んでいるし、すぐに薬を渡すし、抵抗感もない。
徐々に崩壊してゆくエミリー、追いつめられるジュード・ロウ。
やつれると髪も悲しそう。
知り尽くした武器を逆手に取られる反撃は、とっても怖いことだと思う。
監獄と何が違うのかわからない檻の中で、終わらない罰を受ける。
ルーニー・マーラの雰囲気とキャサリン・ゼタ・ジョーンズとの関係は、
悪魔のような女を思い出した。
最後のお義母さんがちょっとだけキャシー・ベイツに見えたりもした(笑)
ただいくらエミリーが芸達者でも、女は演技する生き物だったとしても、
やっぱり上手すぎだろうと思ってしまいました。
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