「傑作になれなかった映画 傑作になれない着想」影武者 タンバラライさんの映画レビュー(感想・評価)
傑作になれなかった映画 傑作になれない着想
武田家が滅ぶのが何でそんなに悲しいんだ ?なんでそんなに必死で勝とうとするのかが伝わってこないと滅んでも悲しみが伝わってこない
影武者になって何がしたいのか? 何で 影武者であり続けたいのか? それが伝わってこないと何の感動もない
それらをうまくまとめるのが難しい ネタ だったと思う
しかし 黒澤明 はよく頑張っていて影武者がバレるところ まではまあまあ面白かった。写真がすごく良かったし。写真は構図も色もとっても良かった。 多分、 宮川一夫が撮影協力で入っていたのは伊達ではなかったであろう。 そして 演出 もしっかりしていた。
残念ながら 人間ドラマ的なものがうまく入っていないのでバレてしまった時に「大変だっ」ていうのが伝わってこなかった。
第一 長すぎる。 影武者は影武者でしかなかったというテーマの軽さと、映画の長さ 舞台の壮大さ がマッチしてない。もっと軽く、短くすれば良かった。
例えば・・
孫は天才君で、すぐにバレてしまう。 しかしその時にはすでに奇妙な友情で結ばれており
「 お主は面白いやつじゃ」 とか言われて 孫のために頑張ろうとする。とは言うものの意見は常に対立し、悶着を起こしながら・・とか。
だが、なにしろ70歳にしてこの力量をみせたのは凄い。意図的に 派手すぎる衣装を着せたり ファーストシーンの地味な 固定カメラだったり・・舞台映画ですよ という 演出はとても良かったと思う。 地味な 演出 だからギャグも入っていた。 もしこれを 仲代達矢 でなく勝・・ いや 三船敏郎がやっていたら 前半だけは傑作だったと思う。三船はコメディアンセンスも高いから。本当は三船敏郎で撮りたかったに違いない 。
結果としては失敗作だと思うけど、写真や 演出の面白さや黒澤のパワーは十分に味わえたので 映画というものは それで良いのかもしれない。