「基本的には面白かった、題材選びの勝利かな」謝罪の王様 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
基本的には面白かった、題材選びの勝利かな
よくこんなことを考えたもんだ・・・。
さすがはクドカン、題材選びが素晴らしかったですね、日本人にしか分からない、日本人的謎行動を、こうも面白おかしく更にはちょっとした感動もあるような話に纏め上げるとは、お見事の一言。
正直スベリ気味のギャグもチラホラ見受けられはしましたが、そこは水田監督×クドカン×阿部サダヲらしく勢いである程度押し切った感もあり、基本的には面白い映画だったなと思いましたよ。
私も何故かしょっちゅう「スイマセン」と、謝る必要もないシチュエーションで不思議とそのフレーズを使ってしまうので、妙にツボな題材に感心しきりでした。
日本人は何ですぐ謝るのか、ホント不思議な生き物ですよねぇ、そして誰に謝っているのかも謎だったりします、その辺りを上手く話に盛り込む辺りは、さすがだなと思わされました。
惜しいのは、最後のマンタン王国の話が長過ぎてダレてしまったところでしょうか。
テンポが良かった前半から少しづつテンポが悪くなって、最後は思いっ切りダレた、と言うか若干飽きてしまったのが正直なところ・・・。
最後のエピソード前までは結構面白かったり考えさせられた部分もあったりで一定の満足度があっただけに、余計にそこだけつまらなく感じてしまいました。
各エピソードが微妙な繋がりを見せていたりと、構成的には素晴らしいなと思わされたんですけどね、最後だけ間延びしてしまったのが何とも勿体無い、せっかく嶋田久作が声を枯らして頑張ったのにね。
まあそこ以外は概ね楽しめました、特に謝罪して欲しい人の心理をついた話なんて、なるほど確かにと唸らされましたよ。
基本は阿部サダヲ等のはじけたコメディ映画でしたけど、時々心掴まされる話が出てくるから油断ならない。
勿論笑いの方も、大ネタだけでなく、小ネタも充実、それ下手すれば気付かれないのでは?と思えるようなネタもふんだんに盛り込む辺りは、いかにもクドカンらしくて良かったですね、しかし「別に」のお姉さんを川口春奈に演じさせるとは・・・。
ヒロインの井上真央も、ちょっとイメージにない役どころで新鮮味がありました、欲を言えば竹野内豊が演じた弁護士とのとある関わりを見せる展開に、もう少しプラスアルファがあれば尚良かったのですが。
岡田将生のバカ男っぷりも面白かったなぁ、おかげで前半から思いっ切りノッテいけました、コメディ映画としては最高のキャラでしたね。
まあ少々微妙なエピソードもありはしましたけど、全体的には日本人気質を見事に笑いに変えたなかなか面白い映画だったと思いました。
そう言えばブレーク前の広瀬すずが、劇中映画の中にちょっと出ていましたね。