映画はなかっぱ 花さけ!パッカ~ん♪ 蝶の国の大冒険 : インタビュー

2013年4月12日更新
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松嶋尚美、母になったことで気づけた“母”の気持ち

お腹の中の赤ちゃんは、声優としてアフレコに臨む母親の声を聞いていただろうか。数年後にアニメが理解できるようになった時、母親そっくりのキャラクターを見てどんな反応を示すだろうか。松嶋尚美はその日が来るのが待ち遠しいといった様子で、幸せそうに少し膨らんだ腹部に手をやる。ゲスト声優を務め、母として自らの思いを重ねながら参加したという「映画はなかっぱ 花さけ!パッカ~ん♪ 蝶の国の大冒険」への思いを語った。(取材・文・写真/黒豆直樹)

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あきやまただし氏の絵本を原作に、2010年からNHKの教育テレビ(現・Eテレ)でアニメの放送が開始された「はなかっぱ」。子どもたちの間での認知度100%と言われるほど絶大な人気を誇るが、松嶋自身はアニメに詳しくなく「正直、全然知らなかった」そうだが、何より驚いたのが周囲の母親たちの反応だったという。

「お話をもらって話した途端に、周りの先輩ママたちがみんな『えーっ!? すごいじゃん!』って。このリアクションを見てすぐにやってみようって思いました。(子どもに勧められて『パイレーツ・オブ・カリビアン』への出演を決めた)ジョニー・デップじゃないけど、子どもがいつか見て、喜んでくれるならやってみようって」。

主人公・はなかっぱを見て「最初は全然かわいくないキャラやなと思った(笑)」と語るが、「テレビの話を1回見たら、人気が出るのが分かる気がした」という。「花を咲かせるときの『春夏秋冬』の歌もかわいくてええなあ(笑)。踊るアホさ加減と素直さがいい。女の子よりもしっかりしていない、男の子のアホな感じが上手く出ていて憎めない」といとおしそうに語る。

今回の劇場版では、ふだん素直に感謝の気持ちや愛情を言葉に出せない母親と子どもたちの関係が描かれる。「母親は『お菓子は座って食べろ』『宿題しろ』とうるさくて、子どもにしたら『それ言われるとやる気なくすんだけど』っていう気持ちになる。私もあっち(=母親)の気持ちを分かっていなかったけど、自分が母親になると『キツく言い過ぎたかな』とか反省する部分もあったりする。いつも同じことをグチグチ言ってくるけど、別にお母さんは壊れたテープレコーダーではなくて(笑)、あなたのことを思っているし、言い過ぎたと反省することもあるって、子どもたちに気づいてもらえるんじゃないかな? 逆にお母さんが見ても『私も子どもの頃、いつも怒られていたな』と思い出してもらえると思います」。

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一方で、仕事が忙しい母親になかなか構ってもらえない子どもの寂しさ、そんな状況に苦悩する母親の姿も映し出している。「こっちは働いてるねん! 仕事せな食ってけんのやから、しゃーないやろって思いましたね。『蝶の国の王子よ、はよ大人になれ!』って(笑)」と容赦ない言葉を浴びせるが、「まあでも、できる限り一緒にいるとか一緒にお風呂入るとかしてやりたいけどな」と最後に付け加えるところは、やはり母親である。

第一子誕生が一昨年の12月。当然ながら生活は子ども中心となりガラリと変化したが、何よりも母親となったことで自らの考え方や感性の変化に驚いているという。

「そりゃ変わりましたね。いままで小松菜が食生活でいかに大事かなんて意識しなかったし! かぼちゃをこんなに使うなんて……って、どうでもええ話でごめんな(笑)。そういう日常の些細なこともそうだし、何よりこれまであまり子どもに関心がなかったけど、いまではテレビでちょっと小さな男の子が映っただけで『あ、かわいい!』なんて思うようになった。やっぱりうちも男の子だから、お買い物のドキュメンタリー見ても、男の子に感情移入しやすくなっている。最近では、いとこのだんなに(ドラマの)『とんび』に気をつけろって言われました。私は原作の本を読んだけど、5ページごとに泣いていた(笑)。子どもがいないメイクさんに『どこで泣いたの?』って言われたけど、私も子どもがいなかったら泣いていなかったかもしれない」。

そして7月には、第二子が生まれるが、妊娠中の生活も初産の時とは全く違うという。「最初の時は夫と2人だけの生活だったから『今日はしんどいから外食にしよう』とか言えたけど、いまは何があっても子どものごはんを作らないといけないから、なかなか休めないです」。苦労を明かしつつも、その表情は穏やかそのもの。一人暮らしの頃は花を買って部屋に飾ることもあったそうだが、結婚してからはそんな習慣も徐々になくなった。「花はなくとも愛があるから、大丈夫です(笑)!」

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