「全てが肯定される世界で」天才マックスの世界 arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
全てが肯定される世界で
ウェス・アンダーソンの作品は一応ほとんど観ているが、今回旧作である本作を観て感じたのは、ああウェス・アンダーソンはずっと変わらずブレずに作品を撮り続けてきたんだなあということ。
マックスはラシュモア校の奨学生だが、課外活動に熱心過ぎて落第を繰り返す問題児。
しかし、本人はそんな状況も意に介さず、好きなことに突き進む。
そんなマックスが恋したのは、新任教師ミス・クロス。
彼女に対してもいつもの調子で突き進むマックスだったが…。
マックスは学校では異端児だし、相当ズレてもいるし、うまく行かないことだって多いのだが、本人はそれで自分を憐れんだり、自己嫌悪に陥ったりすることはない。
彼は決して自分を否定しない。
ウェス・アンダーソンの描く物語では、登場人物は否定されないのだ。
それはこちら側で観ている私たちをも否定しないということで、誰にでもちゃんと居場所があるんだと安心感を与えてくれる。
それがW・アンダーソン作品を観た時に感じる幸福感に繋がっているんだと思う。
W・アンダーソン作品の常連J・シュワルツマン、B・マーレイはもちろんだが、校長のB・コックス、マックスの父親を演じたS・カッセルがいい味。
ヒロインを演じたオリビア・ウィリアムスは最近では『ゴーストライター』で腹に一物ありそうな強かな首相夫人を演じていたが、今作では瑞々しく魅力的だった。
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