「鑑賞後引きずる重いストーリーだが、芝居好き、演技派好きの方は是非どうぞ」マーガレット Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
鑑賞後引きずる重いストーリーだが、芝居好き、演技派好きの方は是非どうぞ
マット・デイモンが出演していると言うだけの理由で借りてみたこの作品あまりの衝撃的なストーリーと、しかも2時間半と言う長尺で、観終わった後はグッタリ!
主演のリサを演じているアンナ・パキンと言えば「X-MEN」のシリーズに出ていて、「ピアノ・レッスン」でスクリーンデビューし、いきなり11歳にして、アカデミー助演女優賞を受賞した天才子役だった彼女も今では早、アラサーと言うわけで、この役はとてもストーリー的にも非常に難しい役処故に、彼女が配役されたのだろう。がしかし、アンナが演じている役が高校生のリサと言う事自体が、何ともズーッと気になり違和感があったのだ。
反抗期+交通事故の引き金を作った少女と言う設定であるため、ストーリーの核心部分はヒロインのリサ無しでは、話しが展開しないのだが、このリサは動揺しても強靭なのだ。
10代の彼女は、離婚した両親の家庭で弟と母親の3人暮し、誰にも本心を開けない孤独な少女で、事故の核心部分も、真実を語れないと言う事で悩むのだが、その感じが出てこないのだ。
普通なら、自分がバスの運転手に脇見運転をさせた事で、死亡者の出る大交通事故をバスの運転手が起こしてしまったのだから、自分が運転していなくても、間接的な原因を作った張本人であるリサが、何故、こうも強過ぎるのが、どうにも腑に落ちないでいた。
彼女の学校生活を通して、アメリカ社会の人種差別問題や、労働者の権利問題、そして裁判における、矛盾点などの法治国家で有っても、その総てが誰にとっても満足出来、納得出来るように、アメリカ社会が機能していない、アメリカ社会と言うか、法律の盲点と言うか、そんな狭間で苦しい思いをする人々の現実を突きつけられる映画なので、法律や、アメリカ文化に興味の有る方には観ても損は無い作品だろう。
しかし、150分と言長尺を覚悟して観るべし!
マット・デイモンもちょっと冴えない、お人好しのリサの通う高校の数学教師と言うだけで、彼を使うまでも無い気がした。
その他の配役キャストは結構豪華出演なのだ。
それぞれの俳優達の芝居を観る楽しみも有るだろう。
しかし、何とも、私の場合は、後味の悪い映画で、後後不快な気分を1日引きずってしまったのだ。
表面的には、アメリカで暮らすのは、物も豊富で、自由な意見が発言出来そうで、暮し易そうに見えるのだが、こう言った映画を観ると、日本の様な大半が単一民族であり、文化的、歴史的背景が共有出来る人達と暮せる社会は、未だ未だ暮しやすいと感じる作品だった。
アンナ・パキンは私生活でも、結婚し、子供も出産したが、その後バイセクシャルであると言う事を公表し、セクシャリティーの差別撤廃運動をしていると言う。その彼女故にこう言う役を見事に演じる事になったのだろうか?