「リアルな成長がフィルムに刻まれている」楽隊のうさぎ ざぼんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
リアルな成長がフィルムに刻まれている
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地方のミニシアターが主導で製作された、素人の子たち中心に撮られた吹奏楽映画。
消極的な主人公が中学で吹奏楽部に入部したことをきっかけに、演奏と部活を通し、仲間と時間を共有し、成長していくさまが描かれます。
素人の子たちがほとんどなんで場面によってはセリフが棒読み気味ですが、その分淡々と彼らの場面を切り取っていき、つなぎあわせ、彼らがひとつの「音楽」になってい姿は、逆に演技を意識しすぎては撮れない「自然の成長」だと思います。
ストーリーを語りすぎず、彼らの変化の流れを切り取っていく手法は、昨今の一から十まで登場人物が説明してくれるサービス過剰な映画に慣れてしまうと違和感を感じるかもしれませんが、説明過剰な映画よりこういう観客に「読み取らせる」映画のほうが私は好みのようです。
「うさぎ」も登場シーンは観客が絶句した空気が流れましたが、映画を見終えばあの演出がベストだったと思えます。
一年を通しての撮影期間は、主人公を身体的にだけではなく内面も成長させ、映画冒頭と最後の表情にそれが現れてると思います。
彼の中の「うさぎ」に見守られ成長した主人公が、また別の誰かを見守る。それは素敵なことだと思います。
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