ジーザス・クライスト=スーパースター アリーナ・ツアー2012のレビュー・感想・評価
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モラトリアムなキリスト様
モラトリアムなキリスト様。マグダラのマリアに愛され、慰められ、ユダにこてんぱんにやられる。人間らしいジーザス!
ともかく、カウンターテノールどうしの歌のやり合いが迫力ある。
お釈迦様もマホメッドも、キリストと比べたら、受難者とは言えないのかなぁ?僕には分からない。確かにこてんぱんに痛めつけられる。
簡単な復活劇にしてないし、裏切り者のはずのユダがキーパーソンとして描かれている。
面白い凄い傑作。
信者ではないから、あまり語らない方が良いとは思うが、イスラム教の集まる市場に豚の肉が掛けられていたのは、どうかなぁと思った。
イエスさまの描き方としては疑問に感じつつも、ミュージカルの楽曲の良さはピカイチです!
『オペラ座の怪人』のロンドン記念公演の映画化スタッフが総出で取り組んだ伝説のロック・オペラ21世紀版公演を映像化作品です。
超有名な作品の割に、初めて映画を通して舞台を見ることができました。でもねぇ、バッハのマタイ受難曲を聞き慣れているものとしては、イエスさまのロックオペラというのは違和感を感じます。劇団新感線がお釈迦さまの出家成道物語をロックで奏でるような感じでしょうか。
今回の2012版では、最新の舞台装置を導入して、より現代的な感覚を導入。特に斬新なのは、大型液晶パネルを背景面に加えて、奥行きを感じさせる映像を映し出させるようになったことです。
舞台設定は、明かに現代のニューヨークのストリート風。登場人物も、若者たちはパンクやストリートファッションに身を包み、役人たちは背広姿という出で立ちなんです。なのに語られる台詞は、聖書の引用のまま。つまり、イエスさまの時代のユダヤの役人たちが、タイムワープしてきて現代人の出で立ちで登場するので、どう解釈すればいいのか戸惑いました。
ヘロデ王なんて真っ赤なスーツ姿なんですね。そしてイエスさまり評決の仕方は、何とネット投票で、有罪が決まってしまうというもの。果たして、これは現代なのか、昔のユダヤのことなのか、はっきりしません。
そんな時代設定ばかりでなく、イエスさま自身が、あまりに人間的で俗人なのです。早い話が、弟子たちも若者ばかりで、まるでストリートミュージック界のスーパースターといったほうが早いキャラでした、高尚な愛は説かず、むしろ出来の悪い弟子を罵ったりする凡人ぶりが気になりました。
それもそのはずで、本作はイスカリオテのユダの視点から、「教団主導者には必須なはずの計画性に欠け、早すぎた聖者としての名声の上にあぐらをかいて、新しい方策を見いだすことができないジーザス」という、ただの人気者にしか過ぎないイエスさまが描かれてしまうのです。そして、ユダの期待は大きな失望にかわり、ジーザスの存在はローマ支配下にあるユダヤ人社会を危険にさらすものになりかねない、という危惧を抱くようになるユダという新しい解釈を加えているのです。 またマグダラのマリアも単なるイエスさまの恋人のような関係で登場していました。それはそれで歴史の一面をついていることは事実ですが、ひとりの人間として神や民衆の狭間で苦悩する面ばかりが強調されていたのです。聖人としての尊さが全く描かれないところは疑問ですね。
だから初演当時から、演劇批評家からは絶賛を浴びる一方で、この作品には当初から敬虔なキリスト教徒やキリスト教原理主義者らから「聖書に忠実ではない」「神に対する冒涜だ」などという道徳的な批判も受けていたのは当然だと思います。
但しミュージカルの完成度は満点。ロイド・ウェバーの作曲する楽曲は、なんてドラマテックで情熱的なんでしょうか。映画『レ・ミゼザブル』のぼそぼそと語るような楽曲など足元にも及びません。
マクダラのマリアがイエスさまを恋忍んで歌い上げるバラードは、『オペラ座の怪人』を彷彿させる甘い歌声でした。曲のベースが、メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲になっていました。ロイド・ウェバーの作曲は聖歌など何かベースの曲があるようです。
ピラト総督が逮捕されたイエスさまに、そんなに殉教したかったら勝手にしろと吐き捨てるシーンは、壮絶な歌い方でした。口泡飛ばしながら狂ったように歌う姿に、ピラトのこの人を有罪にしていいものかどうか呻吟する姿が良く出ていたと思います。
そして何よりも、ユダがイエスさまを裏切ったことを後悔するシーンは、ものすごく感情がこもっていて、ユダの思いがヒシヒシと伝わってきました。破天荒なストーリーの中に、要所で当時のイエスさまと使途たちの思いは、案外正確に描かれているのじゃないかなと思ったくらいです。
あと、ラストのイエスさまが昇天するシーンは、深紅の花びらがひらひらと舞い、天使が見守るなか、弟子たちがイエスさまの亡骸に嗚咽するという、とても悲しく美しいシーンでした。トンデモ設定が続いた本作で一番まともな形で終わって、ヤレヤレという気分で見終えることができました。
ところでカーテンコールには、ロイド・ウェバーも登場してスピーチ。そこでこの復活公演を、かつての愛妻で『オペラ座の怪人』のロンドン キャストで不動の「クリスティン」役を演じていたのサラ・ブライトマンに捧げるというコメントにグッときました。1990年に別れて、年月が経っているのに、まだ愛しているのですね。その思いは『オペラ座の怪人』のラストの演出にも影響していて、それを知っているからこそ、ロイド・ウェバーの思いの丈は幾許(いくばく)なるやと思い巡らしました。
JCSファン向け!
とにかく、『ジーザス・クライスト=スーパースター』という作品を元々知っている人向けの映像です。
もし“ミュージカル映画って楽しいよね!”と軽く観に行ったら、“え、ナニコレわけわからん(;´△`)”ってなると思います…。
(ちなみに私は映画と劇団四季の舞台(エルサレムver、ジャポネスクver)を観ていて、四季版CDを持っています)
以下はネタバレを含む乱文な感想です。
衣裳は現代服。
アメリカのストリートにいそうな不良たちから、普段着やスーツetc..
ジーザスはおしゃれに清潔感がある感じですが、ユダはヒッピーに片足突っ込んでました(笑)
群集の中に、語るジーザスの姿をiPhoneなどで撮影してる人がいたのが印象的です。後に投稿サイトにアップされた映像を司祭たちが見る演出もあります。
マグダラのマリアに対しては「ビッチwwww」というのが最初の印象です。
でも、今まで観たJCSの中で、一番しっくりきたマリアでした。
四季版などでは“貞淑な遊女”のようなイメージでイマイチ共感できずにいたのですが、ツアーのマリアは“怖いくらいケバいよ☆”といった衣裳とメイクで、嗚呼こういうお姉さんいるよねーと納得。
ヒモ男を飼っちゃうような心を持ちつつ、根本は愛情深いヤンママ…という印象を受けました。
ジーザスのために服装を改めてからは、役者さんの逞しい腕に目が釘付けでした。シリアスなシーンでも、漢字刺青入りな腕が見えるともう…(笑)
歌終わりに何度も拍手したくなる自分もいましたが、正直言って音質はあまり良くなかった上に音量も小さかったです。
個人的には、身体に響くくらいの音量がほしかったです。
大画面で舞台並みの音を!!という期待は裏切られてしまったので、DVD発売を待っていても良かったかも?と思います。
カーテンコールでロイドウェバーが出てきたことに感動しました。
嬉しそうに語る姿に、“嗚呼、本当に愛している作品の1つなんだろうなぁ…”と思いました。
上映館は有楽町と難波の二ヶ所しかないにも関わらず、初日初回の大阪では観ていた人数が10人以下でした。
上映は別館ですし、すぐに終わってしまうと思うので、JCSが好きな方は早めに観に行かれるようオススメします。
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