ゼロ・ダーク・サーティのレビュー・感想・評価
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硬派なストーリーで良い
史実をベースにしたリアリティあるストーリーだが、緊張感があり終始飽きさせない構成になっている良作。CIAが少ない情報をつなぎ合わせて、徐々にヴィンラディンの居場所を明らかにするのが面白い。また、シールズによるヴィンラディン邸奇襲作戦も、観ていてハラハラさせられる。それらの要素を、余計な恋愛要素などを排除して、ただヴィンラディン殺害に向けて物事が進む硬派なストーリーとしてまとめあげていた点が良かった。
CIAの主人公マヤの視点から、ヴィンラディン殺害に至るまでどれだけの資金や労力がかかり、実に多くの人間が関わっているかが良く分かる。彼らはアルカイダから命を狙われたり、上層部からプレッシャーをかけられたりする。結局不確かな情報しか得られないが、ヴィンラディン邸へ奇襲作戦を実行するか否か判断を迫られる。そのような状況下で、成果を出さなければならないCIAの並大抵では無い苦労が描かれている。この映画を観た私達も、ニュースで目にするテロ事件の裏側を、映像として想像しやすくなる点でも優れた映画だと思う。
深夜0:30‼️
9・11同時多発テロ関連の映画としては「ユナイテッド93」と並ぶ名作だと思います‼️まず画面には何も映さず、犠牲者の方々の最後の通話音声だけで描くオープニングがヒジョーに印象的でした‼️以降、ビンラディン捜索のプロセス、捕虜の尋問とか自爆テロ、ホテルの爆破事件とかが生々しいドキュメンタリー的な手法でリアルに描かれていて、全編通してズシリと重みのある展開で、2時間40分の長丁場をダレる事なく終幕まで一気に観せてくれます‼️そしてスゴいのはクライマックスのネイビーシールズがビンラディンの隠れ家を襲撃するシーン‼️赤外線、暗視用のグリーンの映像を使って、シールズのメンバーたちが見たと思われる光景が正確に再現されていて、観ている我々も一緒になって襲撃しているかのような錯覚に陥ってしまう、その臨場感‼️結末はわかってはいるのですが、何度観てもハラハラドキドキさせられてしまいます‼️主人公のCIA分析官マヤに扮するジェシカ・チャステインも素晴らしい演技‼️なぜ彼女はアカデミー賞を獲れなかったのだろう❓意味不明‼️そしてラスト、アップで映されるマヤの顔‼️顔‼️涙を流し、疲労を浮かべ、何かに衝撃を受けたように物思いにふけるその表情は、終わることのないテロとの戦いの虚しさを象徴して余りある‼️スゴいです‼️美しいです‼️ホレます‼️
真実かどうかは別として
実話を元にしているだけあってリアリティに感じる場面が多い。
2時間30分という長めの上映時間だが物語の展開も変化が激しいため最後まで飽きずに楽しむことが出来た。
特に終盤の戦闘パートは緊張感があってよかった。
いろんな意味で偏っている
いろんな意味で偏っている
まず編集。
ストーリーに必要な要素を抜き出すなら、「彼」が何をした人物で、なぜ居所が分からないかなどの基本的な説明がまったく描かれていない。
世界中の人が知っていることで、説明の必要も無いということか。だとすれば、事件の記憶も薄れた頃合いに、この映画を見た時に、「何の映画?」と思われることが避けられない。つまり、10年後にも語り継がれる物語にはなり得ない。
CIAの分析官が主人公で、彼女の行動は、核心に迫るのに不可欠の働きだったのだろうが、実際何をしているのかつかみどころがない。ただの傍観者にも見える。イスラム側の報復を恐れて、わざとぼかしてあるのか。それだけに、映画の主人公らしくない。
大がかりな作戦シーンは、迫力もあって、見入ってしまうが、それ以外の政治的なやり取りであったり、酒場で疲れをいやすようなシーンにはやっつけ感が漂う。映りこんでいる背景が作り物臭くて仕方ない。セットのことを言っているんじゃなくて、オフィスで仕事をしている人とか、食堂で食事している人とか、酒場で踊っているダンサーとか、いわゆるエキストラに本物っぽさが全くない。
ジェシカ・チャスティン見たさに選んだが、彼女が出ていなかったら、たぶん見ようとも思わなかっただろう。
マーク・ストロングはチャーミングな禿げ頭をかくし、かつら着用で出演。なんでだ?実在の人物に配慮したのか。役作りなら失敗としか言えない。
突入部隊にクリス・プラットがいたのにびっくりした。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の2年前で、ブレイク寸前の頃だ。ぽっちゃり体型とか言われていたけど、肉体改造はこの頃から取り組んでいたのか。見事な軍人っぽさだった。同じスクワッド内に「シカゴ・ファイア」のテイラー・キニーもいた。映画の撮影後に、ドラマの出演が決まったのだろうか。
ジェシカの演技は素晴らしい。感情の起伏が見事に表現されていて、何かを成し遂げたということが、伝わるいい演技だった。
そんなこんなで、ビンラディン暗殺を知るには不十分な内容だが、その周辺で動いていた人たちの暗躍を知るには、いいと思う。いろんな意味で、偏りがある内容だった。
2017.11.2
戦争と諜報のリアルを観た気になれる映画
どこまでが事実か定かでは無いが、少なくとも娯楽要素を盛り過ぎということは無い。
どちらかと言えば、物語は淡々と進みヒロイズムやロマンチシズムを廃したノンフィクション風の映画。
これは監督(キャスリン・アン・ビグロー)の好みなのかもしれないが、リアルに舵を切った分、主人公(ジェシカ・チャステイン)の演技力を見せる場が少なかったのが残念。(終始疲労と苦悶の表情が多い)
全体としては完成度も高くて良い映画だと思う。
当時はノンフィクション‼️❓現時点では限りなくフィクション‼️❓
製作時に観た時には、とんでもないリアルに驚愕し感嘆したものだ。
製作者もレアリティに自信があるのだろうが、アカデミー賞音響以外受賞しない、誰も真違がわからないから。
徐々におかしいところが明確化してきたが、映画の品質を貶めるものでは無い、それが情報や報道の限界であることを突きつけられているのだ。
さて、現在のロシアのことを知るものは皆無のはずなのに、知るかのように報道している全てはガセであることがわかる見本なのだ。
ビンラデインを育てたのは米であり、突き詰めればテロの責任の多くは米にある、抽象では無く具現として。
歴史的にガセを真実として信じさせられてきた世界の人々がいたことを、思い知らされた、恐ろしき歴史と未来を痛感させられる記念碑となる映画なのだ🎞🎟!
啓蒙から憎悪へと変化する米国社会の空気
2001.9.11同時多発テロ後の米国によるアルカイダ報復は、2011年のビンラディン殺害まで執念深く続けられるのだが、その中心を担ったのがCIAだった。
2012年の本作と、2019年の「ザ・レポート」の2作は、このCIA活動を表と裏の両面から描いていて、何とも興味深かった。
殺害の翌年、アカデミー監督ビグローの撮った本作は、ビンラディンの所在地を突き止めようとするCIA、特に女性エージェントの活躍に的を絞り、冒頭でアルカイダ構成員に対する拷問を延々と描き、ビンラディン殺害シーンで幕を閉じる。前作「ハートロッカー」と同様、この作品も観衆から大きな支持を得て、アカデミーはじめ主要映画賞に多数ノミネートされ、そのいくつかを受賞したのである。
それから7年後、今度はCIAの拷問を摘発する「ザ・レポート」が公開された。こちらはCIAが世界を股にかけて、秘密施設でアルカイダ構成員を全裸で監禁、水責め、直腸に水分注入など、かなりエグい方法で拷問したことを摘発する上院情報特別委員会スタッフの活躍を描いている。
「ゼロ~」とはまさにコインの表と裏の関係だ。この作品も高い評価を得はしたが、「ゼロ~」ほどではなかった。映画賞も受賞することはなかった。
2作品とその評価を見ると、同時多発テロ以後の米国の雰囲気が、かつての外部世界に対する人道的啓蒙的なもの重視から、外部の敵に対する憎悪に変容してきたことをひしひしと感じさせられる。
チャステインが見たくて。 ハートロッカーの監督だけあって、緊張...
チャステインが見たくて。
ハートロッカーの監督だけあって、緊張感が続く。ラスト長丁場は圧巻。
あの時、世界中が度肝を抜かれたけど、こんな風だったんだということがよくわかる。
グァンタナモも出てくる。
チャステインの張り詰めた感情、男たちの間でやり合う身体を張った演技、ラストの涙。いい演技だと思う。
突撃 浅間山荘
浅間山荘も忠臣蔵も煎じ詰めれば「いつやるか」に集約されます。映画的には、そこに至るスリラーをどれだけ溜め込めるかが勝負を決しますが、この作品は見事に成功しました。ハート・ロッカー同様に突き放した乾いた演出がきわだってます。
アラブ人の名前は区別つかなくて困ったけど。
単純に観れば女性ヒーローモノ、格好良い。
他のreview見てると、プロパガンダや、終わりなきテロの戦いの始まり、なんて書いてるが、これは映画というエンターテイメント。
高卒のキレ者女性が周りを動かし、国を動かし、チームを率いて作線を成功させた、という、とても気持ちが良いもの。
もちろん、冒頭のような見方もできる。
見応えある作品です。
いいじゃないか
プロバガンダだと言われてたせいで何となく敬遠してた作品。
チャステインさんが出てるなら、と見てみたら面白いじゃないかと。
CIAって悪者にされがちだけど、単に悪いやつばっかじゃないのかも 笑
終わりの様で終わらない戦い…
やはりこの監督さんはドキュメンタリーっぽいのうまい。
もともと内容的に観る気のしない作品だったが、ハートロッカー観て見よーと思った。
思ったより観ごたえあった。
ただ色々考えさせられて、やるせない気分になる。
本当の戦いの終わりがくる日はあるのだろうか…。
そう言えばジュラシックワールドでオーエンさんにホスキンスがビンラディン襲撃にラプトル使えば良かった的な事言ってたけど、オーエン出とるし!!
なんとも後味の悪いことで。
ビンラディンを暗殺したCIAの例の事件の映画化です。
CIA側の登場人物の造形はフィクションだということですが、それでもCIAの全面的な協力を得て、つまりCIAが「9.11の仇を討った作戦」を顕彰したいという思いによって作られた映画でしょう。
アメリカ側が捕虜を拷問するシーンのエグいこと。
ぜんぜん自分たちアメリカ側を正当化しない映像は、「リアルな世の中というのはこういうものなんだぜ」という製作者たちの強烈な主張を感じさせられます。
スカッとする、というシーンがまるでありませんが、そういうのを観たいのなら007でもバットマンでも観てれば良いわけで、現実とは何かについて深く考えるための、良い材料だと思いました。
エグすぎる現実を直視することが苦手な人には絶対にお勧めできません。
「朝日新聞+日教組」的なお花畑型平和主義が唯一だと思っている人は、この映画を観ないほうが幸せな人生を送れることを保証します。
どこまでが真実か・・
観たのはかなり前ですが、レビュー忘れてたので改めて。。
オサマビン・ラディンの殺害に関する一部始終を扱った作品。かなり編集はされていると思うが、冒頭でアメリカ軍が捕虜を虐待しているシーンなどをしっかり撮っており、事実に基づきある種の批判的精神を持って作られた作品だな、というのは観て取れる。
ストーリー自体はそれほど面白みは無いが、こういう内容を真正面から扱うあたり、まだまだハリウッド(アメリカ)映画の底力を感じさせる。
ゆく道先が困難なこと
人間の皮を被った身の周りに潜む見えない悪魔との戦いは常に緊張感が漂っていました。
CIA、否、アメリカが何年もかけて調べ上げ、自分自身に危険が及んだこともあったが、血眼になって私の全てを賭してきたのに。。。今までも、そしてこれからも続くであろう終わりなき戦い、、、
最後、飛行機のお迎えが来たシーンで搭乗員が私に尋ねたこと。
『行く先は?』
夕陽が沈む、、、輸送機のハッチがゆっくり閉まり、私は陰鬱な表情をして、皮肉にもそんな簡単な質問にさえ、発せられる言葉は何もなかったのだった。
相手側に立って考えてみる想像力の欠如。
ラストの隠れ家にて目の前で両親を惨殺された子供達はどう思うか。何世代にも渡り何万人と語り継がれてアメリカを憎むだろう。戦争に正義も悪もない。ナチスヒトラーだって正義だと信じてあれだけのことをした。9.11テロの首謀者達だって正義だと信じておこなった。戦争に良いも悪いもない、ただ憎しみと暴力の連鎖が続くだけ。アメリカは先住民を皆殺しにした建国以来、自分たちの正義を信じて、世界中で多くの人を殺してきた。世界大戦、ベトナム戦争、朝鮮戦争、湾岸戦争。一般市民への無差別殺戮である原爆投下。アメリカ軍は最近でもイランのソレイマニ司令官を爆殺した。イラン国民においてソレイマニ司令官は、かつてのキューバにおけるゲバラのような英雄だという。そうされた国民はどう思うだろう。何世代にも渡って親から子へ、子から孫へ、悪の帝国アメリカに一矢報いることを誓い合うだろう。貧しい国の唯一の戦いの方法であるテロで。いくら報復合戦をしても終わりは無い。武力で平和は訪れない。アメリカは自分たちの正義を絶対として、それ以外の人々の気持ちを考えない。アメリカは今後、何百年経ってもテロの標的になり続けるだろう。日本は、いつまでもそんな国の言いなりになって子分でいてはいけない。
長いプロセス
Zero Dark Thirtyは2011年5月2日0時30分に決行されたビン・ラディン隠れ家襲撃作戦(ネプチューン・スピア:海神の槍作戦 )の時刻だろう。2001年の9.11から実に10年の月日が経っていた。CIAの趨勢としてテロの未然防止が主眼でありビン・ラディン捜索は半ばあきらめていたのだろう。
今やビン・ラディン暗殺は衆知の事実、殺害がCNNで伝わるとワールド・トレードセンター跡地には数千の群衆が集まり歓声を上げたらしい。結末が分かっているのだからプロセスを描くしかないのは分かるが2時間半は長すぎる、CIA内部の硬直性、拷問シーンといい襲撃での家人殺害など批判覚悟の問題提起で復讐劇の美化にならないようにしているのもキャスリン・ビグローらしい。映画では描かれなかったが予防接種と偽って屋敷に入ったことから予防接種の慈善団体関係者が襲撃事件後に過激派に殺されたらしい。
最後のマヤ(ジェシカ・チャステイン)の表情が暗くみえたのは象徴的だった。
脚本のマーク・ボールは襲撃作戦の実行部隊の表彰式に潜り込んだり、関係者への隠密取材でプロットを書いたらしい、ビン・ラディンのインタビューを制作したCNNのピーター・ベルゲンも監修として参加したらしいがどこまで真実か、一説にはビン・ラディンはパキスタン政府に軟禁されていて情報部の元高官(ウスマン・ハリッド准将)がCIAに売ったらしい、いずれにしても50年後の機密文書公開まで謎のままである。
悲しいかな首謀者を消して面子は立ったろうがテロは無くならない、生き延びた息子は後を継いで過激派を率いていたがトランプ大統領は2019年9月14日ビン・ラディンの息子ハムザをテロ掃討作戦で殺害したと発表した、負の連鎖は絶たれたのだろうか・・。
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