「50年前の映画と似ている」ゼロ・ダーク・サーティ 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
50年前の映画と似ている
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これを観た時に
約50年前の映画『アルジェの戦い』に似ていると思った。
時代も国も違うし、一緒にするのは間違いだと分かっているのだが…。
『アルジェの戦い』は1950年代のフランスとアルジェリアの争い、
本作はアメリカとアルカイダの対立、
歴史的背景も全く違うのだが、それでも似ていると思った。
テロ頻発→拷問によるテロ容疑者の捜索→居場所を突き止めてテロのリーダーを襲撃
という流れが同じ。
実際にあった事件を元にしているのも同じ。
拷問に対して自国他国から批判が集中するのも同じ。
一番似ていると思ったのは、
テロのリーダー捕獲の際に、現地の人が遠巻きにその様子を見ている事。
無言のまま、捕獲する側の暴力を見つめている。
歴史的背景も意味合いも全く違う2つの映画なのに
見比べると、どうしても
「歴史は繰り返す」
という言葉が浮かんでくる。
50年後に『ゼロ・ダーク・サーティ』を観た人が
「歴史は繰り返す」などと思わない世界になっている事を願う。
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この映画『ゼロ・ダーク・サーティ』が優れているのは
歴史的大事件を扱いながら、国家の視点ではなく
一人の女の視点で物語を描ききったことだろうか。
国家の正義ではなく
一人の女の復讐劇、感情を描く。
国家の正義には嘘があるかもしれないが、女の感情には嘘がない。
だからこそ、このギリギリの題材で感動を呼び起こすのだと思う。
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