「なんとも重い気持ちに…」ゼロ・ダーク・サーティ harukitaさんの映画レビュー(感想・評価)
なんとも重い気持ちに…
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真実の物語ではなく、証言に基づいて作られた物語。
正直なところ観賞後の感想はスッキリしたものではない。なんともモヤモヤした気持ちを抱いたまま劇場を後にした。
この作品も前作「ハート・ロッカー」同様、作り手が答えを用意するのではなく、観た人各々が答えを出すカタチになっていると思うが、あるひとつの疑問を抱かせる方向で終わっているようにも思う。
あくまでも私個人の感想だが、
ビンラディンとされる男が100%本人であるという科学的証拠は何一つ示されてはいなかった。
ラスト、リアルタイムでストーリーが進行する中、兵士が射殺された男の名前をその場にいた女性や子供に確認する場面があるが、そこでもビンラディンの名前は一言も出てきていない。
あくまでもビンラディンらしき男なのである。
「疑わしきは皆殺し」……そう感じてしまった。
あれほど慎重だったホワイトハウスなのに、100%本人であるという証拠も無いまま見切り発車的にゴーサインを出してしまった。
しかも劇中、最終的に本人確認をしたのはマヤの目視のみ。
明かに私怨と憎悪と執念に駆られたと思われるマヤの目視だけでは、その男が間違いなくビンラディンであるとはどうしても思えなかった。
もし本人であることの科学的証拠が示されていたなら、この映画の感想は全く違うものになっただろう。
それほど重要なことが抜け落ちているために、この映画の感想は、スッキリしないイヤなものになっている。
もしこれが事実なら、アメリカの敗北ではないだろうか?
そんなふうに考えてしまう。
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