「報復の連鎖は、いつになったら・・・」ゼロ・ダーク・サーティ りりーさんの映画レビュー(感想・評価)
報復の連鎖は、いつになったら・・・
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911アメリカ同時多発テロ事件が起こったのは、もう11年以上前の2001年だ。
その時の様子から始まる。
音声のみで。
これだけで、緊張感は高まる。
キャスリン・ビグロー監督は、事実の断片をかき集め、証言を検証し、物語を構築されたようだ。
11年以上も前の事なので、私の記憶から抜け落ちていたことも、この作品で再び思い起こされることとなった。
CIAは、人権を無視して捕虜を痛めつけ、証言を得ようとする。
でも、その証言は、信じられるのか??
信じられないのか??
そして、国家の威信とは?!
ビンラディンを追い詰める間にも、ロンドンで同時多発テロが発生した。
また、同僚をテロで亡くした。
マヤのスイッチが入った瞬間だ。
ビンラディンが亡くなったことは知っているので、展開はわかる。
でも、そこへ辿り着くまでの過程が、凄い。
マヤの孤高の執念だ。
感情を表すことが少なく、憔悴しきった様子がよくわかる。
カナリア達も、ステキな軍団だったのですね。
ゼロ・ダーク・サーティとは、アメリカ軍用語で、午前0時30分のこと。
でも、最後にマヤが流す涙は、達成感ではなく喪失感。
やり遂げた嬉しさではなく、悲しさ。
心に残ったのは、どこへ行くともわからない漂流感でしょうか。
この作品が伝えたいのは、復讐の達成ではない。
報復の連鎖から生まれるものは無い。
そのことでしょう。
難を言えば、少し時間が長いので、緊張感が持続しにくく、中だるみがあった。
それも、作品中のCIA現場と同じ空気だったのかもしれないけれど。
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