「硬派なストーリーで良い」ゼロ・ダーク・サーティ 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
硬派なストーリーで良い
史実をベースにしたリアリティあるストーリーだが、緊張感があり終始飽きさせない構成になっている良作。CIAが少ない情報をつなぎ合わせて、徐々にヴィンラディンの居場所を明らかにするのが面白い。また、シールズによるヴィンラディン邸奇襲作戦も、観ていてハラハラさせられる。それらの要素を、余計な恋愛要素などを排除して、ただヴィンラディン殺害に向けて物事が進む硬派なストーリーとしてまとめあげていた点が良かった。
CIAの主人公マヤの視点から、ヴィンラディン殺害に至るまでどれだけの資金や労力がかかり、実に多くの人間が関わっているかが良く分かる。彼らはアルカイダから命を狙われたり、上層部からプレッシャーをかけられたりする。結局不確かな情報しか得られないが、ヴィンラディン邸へ奇襲作戦を実行するか否か判断を迫られる。そのような状況下で、成果を出さなければならないCIAの並大抵では無い苦労が描かれている。この映画を観た私達も、ニュースで目にするテロ事件の裏側を、映像として想像しやすくなる点でも優れた映画だと思う。
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