ばしゃ馬さんとビッグマウスのレビュー・感想・評価
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日常から得るもの
天才は原体験や環境・人格なんかと相互作用する中で掘り当てられるもので、簡単に「才能・夢」って言葉は使うべきじゃない。馬渕さんは去る場面でも使ってたけど。。尊いものだから本物は憧れや尊敬の対象になるわけで。でも普通な日常に生きるってことの尊さもあって、そこに帰るっていうラスト。うまくまとまってたと思いました。
夢をかなえる側の人
期待以上には良かった!!
ファンなので観に行ったものの…
設定が無理矢理感…
5/17 ばしゃ馬さんとビッグマウス
5/17 DVDにて鑑賞
吉田恵輔監督のさんかくが好きだったので借りてみた。
相変わらずリアリティには溢れまくり。ダメ人間描かしたら本当にうまい。
麻生久美子の役柄は演技もキャラ設定も抜群でああこういう人いるなぁと納得できた。
しかし、ビッグマウス役の安田章大の役柄は設定もあいまいでどうしてこういう人間になったのかというのがわかりずらかった。演技はよかった分残念。
劇中二人が別れるシーンのセリフで安田くんが麻生さんに『またばしゃ馬みたいにがんばるん?』というセリフがタイトルにこじつけたようで必要なかったかなぁと。
安田くん=ビッグマウス
麻生さん=ばしゃ馬
の設定バランスが悪かった。
全体的に悪くはないんだけど、そこが残念。
岡田義徳さんと山田真歩さんの演技は脇役なのにしっかりキャラができていて素晴らしかった。
東京にたくさん溢れていそうな人種をうまいこと描いててそれには共感できた。
10点中で4点。
(了)
夢にしがみつく凡人たちの姿に共感しっ放し!
前に「地獄でなぜ悪い」のレビューでも書いたが、恥ずかしながら映画監督になりたいという夢を本気で抱いた事があり、同時に恥ずかしながら脚本の真似事をした事もあった。
なので本作は、非常に胸にチクチク突き刺さった。
シナリオコンクールに幾度も幾度も応募するも、一時選考すら通らない34歳の馬渕。
一度もシナリオを書いた事が無いくせに、他人のシナリオを酷評する自称天才・28歳の天童。
そんな二人がシナリオスクールで出会って…。
見ていて、二人共、まあイタイ。
馬渕は友人の結婚式での見栄を張ったある台詞に、あー言っちゃった…と思った。
天童のこの自信は何処から来る?
人によっては二人共、好かないだろう。
二人共、意地っ張りだけど、自分に才能が無い事を充分分かっている。
凡人のこそばゆい所を、吉田恵輔監督は、可笑しく切なく愛おしく、絶妙に突っつく。
脚本を書くのって、本当に難しい。
どういう展開にするか、どうシーンとシーンを繋げまとめるか、どんな台詞を喋らすか、展開や台詞にちゃんと意味はあるか、無駄な部分は無いか、間延びしてないか、テンポは良いか…あれやこれやと考える事がいっぱい。一応これでも、脚本の真似事をしていたので(笑)
脚本家として成功しているのはほんの一握り。
その中には、シナリオコンクールに出したら絶対落選する映画の脚本がごまんとある。
シナリオコンクールでは落選したものの、映像化したらひょっとしたら??…というゴミ箱に捨てられた脚本もごまんとあるに違いない。
この差は何なのだろう? プロという肩書きとアマである事の違い?
“才能”の境界線は不鮮明。
夢を叶える事は難しい。
それと同じくらい、一度抱いた夢を諦める事も難しい。
妥協して諦める時はいずれ必ずやって来る。しかしそれまで、格好悪くとも夢にしがみついたっていいじゃないか。
才能? そんなものはやってみなければ分からない。
監督が駆け出しの頃の自身をモデルにした馬渕を、麻生久美子が好演。個人的に思うに、彼女の代表作の一本に挙げられるだろう。
天童を関ジャニ∞の安田章大が演じ、見事な演技を披露する。
レンタルで気に入った作品は二度三度繰り返して見るのに、本作は、繰り返して見るにはちょっと勘弁だった。
あまりにも胸がチクチク痛かった。
だけど、とても心に残る作品だった!
私はこの映画が好きだ!!!!
後半にかけて…
表現(書きたいもの)があるか無いか
この映画はいかに夢に決着をつけるかをテーマとしていますが夢を追い続けていく者と諦めていく者の対比を描きそのどちらにもエールを贈っている作品だと思いました。
シナリオライターを目指すきっかけこそ馬淵さん、天童共に大層な理由がある訳ではないもの、大口を叩くだけだった天童は書き続けるうちに『風俗嬢だった母親との関係』等自分が本当に書きたい事を見つけていきます。天童の書きたいテーマは他にも『ホームレス』とライトなものではないので彼はこの先も売れる事はないかもしれませんがマツキヨさんが書きたい事を書いた結果賞を受賞した様に書きたい事を書き続けていく限り可能性はゼロではないのだという事が示されていると思います。
一方馬淵さんは日々努力を重ねるも本当に心から書きたいというものが無いので社会問題を織り込みたいと言い介助のボランティアをしてまで書いた作品も中身の無いテーマがそれたものになってしまう。居酒屋で天童がシナリオライターを目指すきっかけを話し、それを聞き涙するシーンでは自分が天童の様に書きたい事があるわけで無い事に気づいた瞬間だと思います。最後に馬淵さんは夢を諦めるという決断をしますがその顔は晴れやかです。夢を追い続けることだけが人生ではない。この二人の対比を描く事でそのどちらの人生も肯定する監督の視点を感じました。
個人的には例えシナリオライターを仕事に出来なくても他の仕事をしながら書く、金にならない自主映画等のシナリオを書く等第三の道もあると思うので二人には書きたいと思う心があるならば書き続けて欲しいなと思いました。
好きです。
夢を追っている人こそ見ると良い映画ではないだろうか。
この映画を見るまで、夢を追う人は恰好いい。と思っていた。
が、鑑賞後、夢を叶えるためにたくさんの物を犠牲にして、馬車馬のように必死になるその姿は恰好いいとは思えなかった。
結局夢を追っている人が恰好良くなる瞬間は、夢を叶えたときなのだ。
夢の種類にもよるが、夢が現実になる可能性は低い。
その現実を受け入れ、苦々しくも方向転換していくことは負けではない。得策である。
夢を追う人にそれを伝えたい。
しかし、夢は追わなければ叶わない。というか、必死に追うから夢なのだ。苦労や犠牲が発生しないものは夢とは言えない。
夢を叶えるとは、誰かの夢を犠牲にすること。それでも自分の夢を叶えたい想いがある人が一握りに入る資格を持つ者なのであろう。
夢を追う覚悟と、現実の厳しさを教えてくれた映画だった。とても良いタイミングで出会えた。
面白い映画ってこういうのだと思う
とても良い作品を観せてもらった。
こういう作品に出会えるのは嬉しいことだ。
諦めなければ夢は叶う…という言葉は良く耳にするけれど、それは夢を叶えるためのほんの最低条件にすぎない。
しかもそれは夢が叶った人の言う台詞である。
ほとんどの人が何らかの形で夢を諦めるか、方向転換せざるを得ないのが現実だ。
この映画の主人公のように何度トライしても結果が出ずに、それでもなんとか結果を出そうともがき苦しんでいる様は滑稽であり、痛い。
しかしその頑張っている姿こそが、実はすごく輝いて魅力的なのである。
その感じを麻生久美子が実に上手く演じていたと思う。
そして彼女が自分の夢を追いかけることができる環境があることこそが幸せなことだったりするのだ。
その辺りのことも本当に良く描いていたので感心した。
元カレの部屋でのシーンはこの映画の白眉だし、ラストシーンで彼女の周りでボヤけていく風景は、彼女がまだ見えていないもののメタファーだろう。
是非その辺のところを観てもらいたいと思うし、他にもみどころ一杯の本作品を一人でも多くの人に楽しんでほしいと正直思います。
好きなことは止められない。
観終えた時にトンデモなく胸の奥がズキンとなる作品だった。
夢と現実の折り合い。がつかなくて、もがいている人が観たら
どんな気持ちになるんだろうな…というリアル感が堪らない。
夢をあきらめるという、自分の気持ちに区切りをつけるという、
その行為を経てもなお、性懲りもなく夢を追っている人がいる。
どんな夢であれ、抱いてしまったものはおそらくそれが叶うまで
ずっと思い切れないものだと私は思う。万が一それが叶った時、
それまでの夢とこれからの現実にまた何かしらで悩むのだろう。
どこまでいってもこれで終わり。っていうのはおそらくなくて、
悩む人は一生悩むだろうし、悩まない人は一生悩まないものだ。
ばしゃ馬さんのように脚本家一筋!の主人公・馬渕は、観ている
だけでこちらまで辛くなる。才能のあるなしを、誰がどこでどう
決めるかは分からないが、きっと本人が納得するまで終わらない。
本人も分かってはいても、どうしても諦めきれない。の思いで
取り組んでいるので、これは本人が納得するまで終わらない戦争。
大口を叩き彼女をからかう天童も、実際の努力が叶わない現実を
自身が書くことで初めて体験する。巧く書けたと思うのは本人だけ、
審査する側は、きっとそんな脚本に対して魅力など感じていない。
さらに巧い下手の問題以外でいえば、多分に運やコネも関係する。
どこでなにが功を奏するかなんて、例えば流行をひとつとっても
本当に予測がつかない。それを瞬時に活かしたひと握りの人間が
選ばれて、磨かれて、宣伝されて、世に羽ばたいていくのだ。
マツモトキヨコには、もともと才能はあったのかもしれないが、
馬渕と同じく一次選考で落ちていたことを考えると、最初から
ズバ抜けたものを発揮していたのではなさそうだ。どこかで運が
向いて彼女に風が吹いてきたような(なんだこの抽象的な表現は)
目をつけられた。というあたりからそれを活かしていったと思う。
だから、どこでなにが起こるかなんて分からない。
馬渕も…万が一この先、55歳で花開く!なんてことがあったかも?
(そういうこといってたらいつまでも諦められないね)
コメディ、というほどでもなく、恋愛モノ、にもならず、どこか
中途半端な描き方と終わらせ方が、いかにもありそうな映画の顛末
に沿ってはおらず、特に授賞式の見せ方は秀逸!で、残酷至極。
だけど、こんな経験をしている夢保持者は未だゴマンといるわけで、
ばしゃ馬のように、大口を叩きながら、夢に邁進している人がいる。
馬渕はあのまま終わるか。実家の旅館で繁盛記でも書くんじゃないか。
またそんな夢を彼女に抱いてしまった。
(夢が叶う以前に好きなことは止められないものだよ。誰だってそう)
出会えてよかった!!映画
追いかける夢に馬車馬のように努力する主人公が、もう、報われなくて(涙)でも、それが現実だから、悩むし、妬むし、寂しいし、諦めつかないし。努力だけでなんともならない現実と向き合えないのが、すごく、よくわかる…
諦めるタイミングっていつなの?ほんと。
頑張ってる子って健気なんだよね。がんばって、がんばりすぎて、泣いてるのはほっとけないんだよ。元カレが泣いてる彼女の話を聞ききながら、いたたまれなくなっている姿がなんとも愛おしく、その時のセリフがなんとも印象的。元カレに身を引かれたのは、辛くて、悲しくて。リアルな演出と演技に激しく感情移入してました。見てよかった映画でした。
現実はビターテイスト…
タイトルに恋愛モノを期待すると、嘘あり。
馬車馬さんも、(特に)ビッグマウスも、ペラくて共感は出来ないけど。
だからこそ浮き上がる現実っちゅうヤツのビターさ加減の妙!
個人的に涙が止まらなかったです。
リアルが充実してる輩は、観なくて宜しい!涙
この監督と石井裕也監督は、邦画若手の最後の砦だと思いますね。
シナリオ道
麻生久美子が元彼に体を求められて「そんなことされたら本当に好きになっちゃうよ」と言うと、彼がすごすごと引っ込む場面がリアルで最高に切なくて面白かった。
主人公が簡単に成功するような話でないところがとてもよかった。
脚本家を目指すならコンテストもいいけど、映画の製作会社に入って下働きを懸命にして、プロデューサーや監督と信頼関係を築いて取り組んだ方がいいと思う。最初はお金にならないような仕事かもしれないけど、それは実力次第だし、現場を知っていて書いたシナリオは重宝されるはずだ。しかし、コンテストで賞を取るという道は才能一本で勝負している感じがしてとても魅力的だ。
また、他の仕事に本格的に携わって取材するのもいいと思う。なるべくドラマチックで人間的な関わりが多くて、かつ絵になる業務がいいと思う。
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