劇場公開日 2013年8月24日

「日テレ制作映画にありがちなダメ感」ガッチャマン メンチ勝之進さんの映画レビュー(感想・評価)

1.0日テレ制作映画にありがちなダメ感

2013年8月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

リメイクとして成功したかどうか、という以前に、一本の娯楽映画としてひどい出来栄えです。ダメ映画の病理をフル装備した、箸にも棒にも掛からない作品というほかありません。

巷では出演女優さんの事務所のゴリ押しがどうとかいうのでゴシップ的にディスられてるようですが、本作のダメさ加減はそういうレベルの話ではありません。
たしかに、彼女の芝居は実際イラつくものでしたが、本作は

  ‘物語の筋’と‘映像の見せ方’が低レベル

なので・・・要は脚本と監督(あとは編集)の力がないので、大根役者がひとりふたり増えたところで結果は大して変わるもんでもないと思います。

その低レベルさとは

 ・登場人物の行動原理がとにかく‘心でっかち’。
  世界の重大事とガキの色恋が同一レベルで語られているのは笑止千万。

 ・作品内のリアリティレベルが不明。
  味方も敵も、特殊能力で何が出来て何が出来ないかちゃんと描写しないため、
  サスペンスに緊迫感がない。

  ていうかこれ SF なの?
  それとも魔法モノのファンタジー?
  できの悪いセカイ系って理解でいいですか?

 ・ストーリーテリングのために必要なシーンがなく、セリフの説明で済ませている
  (全般的に説明セリフばかり)

 ・その割りに、時間がないはずの状況でもたもた精神論を語っており、
  緊迫感がそがれる

 ・主人公たちの行動が間抜けで筋が通らないので、
  敵にやられても自業自得にしか見えない。

こんなとこですね。
キャラクターイメージが原作に比べてどうとか、そういう以前の話で。

あと CG もひどいです。
キャラクターがひゅんひゅん空を飛ぶんですが、どういう原理で飛んでるか分からない動きなんですよね。こういうところも作品のリアリティレベルを混乱させる原因だと思います。
ゴッドフェニックスが 90 年代の TAITO のシューティングゲームの自機みたいなデザインなのも、個人的にはあまり気に入らないです・・・まあ、その辺は好き好きの問題なのでしょうが。

ちなみに、ゴッドフェニックスがエンジン掛からないというのでピンチに陥るはずなのに、最後は何事もなかったようにエンジン吹かして飛んでるのはどういうわけなんでしょうか。
これに限らず、いちいちお話の辻褄があってなかったです。

・・・とこんな具合で、どこかで見たなあと思ったら、同じ日テレ制作、渡辺雄介脚本の『20世紀少年』や『GANTZ』と似た感じのダメっぽさでした。
この十五~二十年ばかり、テレビ局の制作するダメ映画は多々ありますが、それぞれ日テレっぽいダメさ(上記の通り)、TBS っぽいダメさ(物語の起伏に乏しく登場人物の動機が描かれない)、フジっぽいダメさ(社会や公的組織を批判しようとするが見方が幼稚で偏見に満ちている)と、社風がでてるのは興味深いところです。テレ朝とテレ東はよく知りませんが。

あと、映画.com さんに要望。
[作品の印象] 欄に最低ひとつチェックを入れなければいけないようになっていますが、だったら [腹が立つ] ないし [呆れる] という項目を入れておいてください。
よろしくお願いします。

メンチ勝之進