「カツ丼が食べたくなった」コドモ警察 いずるさんの映画レビュー(感想・評価)
カツ丼が食べたくなった
終演後、劇場の外に出ると雨が降っていた。
傘を持っていなかった私は車まで走り抜け、急いでドアを開け乗り込む。
少し濡れた服の滴を払い除けて、ホッと一息ついた。
エンジンキーを差し込み、帰路につこうと車を発車させる。
映画の余韻に浸りながら、ぼんやり思い返す。
福くんがヘリコプターから狙撃するシーンかっこよかったな、とか
マイコは子供なのに色気たっぷりだったな、とか
イノさんナベさんペアの取り調べの掛け合い面白かったな、とか
取り調べ、そう、取り調べだ!!
『カツ丼が、食べたい!!』
にわかにそう思った私はアクセルを踏み込んだ。
赤信号が青になった途端にF1のようにエンジンがうねり、素晴らしいスタートを見せた私の車(軽)は町を爆走。
※ 交通ルールは守ってます
最短でカツ丼に至る道を間違え、舌打ち。
フロントガラスに雨が打ち付ける音が段々と大きくなっていくようだった・・・
はやる心を押え、細心の注意を払って店前に停車。
勢いを増した雨の中へ猛然と飛び出し、道を阻む水たまりをまるで競走馬の様に飛び越え
何かに追われるように、ほか弁の敷居をまたいだのだった。
無事にカツ丼を入手できた私は温かい容器に手をかざし、雨に濡れて冷たくなった手を温めた。
ふたを開ければ食欲をそそる香りが辺りに漂い、たまらなくなった。箸を取り上げ、一番真ん中に横たわる卵をまとったカツを口の中に放り込む。
一口食べれば、揚げたての衣と出汁が絡み合った味が、幸せへ導き冷えた体に染みわたった。
続けざまにご飯をかきこんだ。
空腹の中、がっつくように食べたカツ丼は身に染みいる味で
これをくれるんだったら自白だってする、という気になりました。
お腹の空く映画だった。
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