「広告で世界を変える」NO arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
広告で世界を変える
政権奪取から15年後の1988年、独裁への国際的な批判を受け、ピノチェト政権は政権存続を巡り国民投票の実施を決定。賛否両派が27日間に渡るTVキャンペーンを展開することに。NO陣営のキャンペーンを担うのは気鋭の広告屋レネ。しかし、独裁下の国民は出来レースだと諦めムード。
ピノチェト将軍の名前くらいは知っていたが、広告キャンペーンによって独裁政権が覆ったことは恥ずかしながら初めて知った。当初の国民の選択肢は賛成か棄権かという、反対派にとって勝利は奇跡レベルだったものを覆したのは、独裁下の苦難よりも未来や喜びを全面に出すその戦略だった。
人の心を動かす“広告”の力の大きさを改めて実感すると共に、悪用された時の影響大きさも心に留めておかなければならないことも痛感。賛否両派に分かれ闘ったレネとグスマンが、政権交代後、再び共に仕事をする姿は正に未来志向だ。
ヴィンテージカメラで撮影されたという映像が、ほとんど繋ぎ目がわからないくらい違和感なく当時の記録映像と融合。パブロ・ラライン監督の三部作の他の二作品「Post Mortem」「トニー・マネロ」も観たい。
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