「見応えがある割には結局なんか無味」欲望のバージニア marumeroさんの映画レビュー(感想・評価)
見応えがある割には結局なんか無味
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題材、世界観、キャスト、それらが本来的に持っているでしょう魅力を活かしきれていないように感じました。
ネタバレになってしまいますが、その象徴的なものとして、一つだけあげます。どうしても言っておきたいシーンと言った方がいいかもしれません。
デイン・デハーン演じるクリケットが殺されたシーンです。
これまで随所で存在感を出していて、ハエも殺せない優しい彼が死ぬんです。しかも、ここからクライマックスへと向かっていくポイントでもある場面です。
その見せ方に全く魅力を感じなかったのです。何も感じなかったといった方がいいかもしれません。ストーリーの流れも、画の構成も、デハーンとピアースの演技の見せ方も、セリフ構成も、音も、なんというか簡単過ぎるというか平板的というか、とにかくなんか無味なんですよね。
そういう平板さ、間延び感、劇的緊張の弛緩、ダイナミズムの欠如、といったものが、特別酷いわけではないにしてもなんかちょっとずつ、しかし全体的に感じられるんです。
キャストだって、もっともっと魅力的にできたんじゃないかと思います。
ラスト、幸せで暖かい家族風景のなかで、あれはそういう時代だったんだとまとめられても、いまいちピンときません。
禁酒法がもたらした悪影響はわかりますが、禁酒法がなくなったからって急に平穏的で暖かい空気感に納まるくらいなら、そもそも大した話じゃないでしょうよ、と詰まるところ身も蓋も無いように感じてしまいました。
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