「遊びつつ真面目」欲望のバージニア 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
遊びつつ真面目
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『プロポジション』で力いっぱい血まみれ三兄弟を描いたヒルコート監督、
今回奇しくもまた三兄弟の物語で力入りまくりなのかと思いきや、割りかし遊びのある作品だった。
アメリカ禁酒法時代の無法者ボンディランド兄弟の物語。
実話というより寓話的。兄弟不死身伝説が楽しい。
次男役トム・ハーディが無双。誰よりもメリケンサックが良く似合う。
脇役ゲイリー・オールドマンもイイ。誰よりもトミーガンが似合う。
敵役ガイ・ピアース、諸悪を煮詰めた感じが面白い。
対する女優陣もイイ。姐さんチャステイン、若手ミアそれぞれの魅力を堪能。
誰が主役をやってもおかしくない贅沢なキャスティング、存分に活かした仕上がりに満足至極。
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表面上のストーリーは無法者を遊びつつ描いているが、
『プロポジション』『ザ・ロード』のヒルコート監督だけあって、内実はものすごく真面目。
人間の善性とは何かを問い、自然や生命への畏怖が根底にある。
静かなラストはその余韻を残す。
不死身伝説なんてある訳ない。人は誰だって死ぬ。そして歴史は続いていく。
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