「静かに深く、心を侵食していく」マーサ、あるいはマーシー・メイ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
静かに深く、心を侵食していく
カルト集団から脱走し、疎遠だった姉夫婦の元に身を寄せたマーサ。しかし、“マーシー・メイ”と呼ばれていたカルト集団時の記憶に苦しめられる…。
カルト集団と言っても日本人なら誰もが思い浮かべる“あれ”のようなイメージは無い。
人里離れた山の中の開けた土地に家屋があり、そこで野菜などを作りながらの生活。怪しそうな祈祷も教えもナシ、一見平和そうなコミューンにも見える。
が、こういうのが、人の心を侵食していく。静かに深く。
非常に淡々とした演出・展開。
カルト集団時の記憶も劇的に変わったりせず、日常生活の中からスッと挿入される。
マーサも一方的な被害者のように描かれておらず、だからこそ時折常軌を逸した行動に姉夫婦の苦悩もひしひし伝わる。
エリザベス・オルセンの映画デビュー作にしてブレイク作。
とてもあのセレブ姉妹の妹とは思えないほどの難しい役所を演じきっている。
カルト集団のリーダー、ジョン・ホークスも存在感あり。死について語るシーンは特筆。
ラスト、マーサの行く末は…?
某宗教団体事件でニュースで報道されなかった、抜け出しても苦しめられ続ける人たちはいた筈。
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