「自分のことしか知らない」よく知りもしないくせに kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
自分のことしか知らない
ク・ギョンナム監督は堤川国際映画祭の審査員として招待され、関係者たちと飲み会を始める。そこで酔っ払った者同士が同じ部屋に放り込まれたため・・・後から実行委員長のコン・ヒョニに意外な出来事を聞かされる。次の日はかつての友人サンヨンに偶然出会い、彼の家で飲むことになったが、そこでの出来事も意外な展開が待ち受けていた。
12日後。済州島で学生たちに講義をした後、またもや飲み会。その二次会でかつての恩師であるヤン先輩に出会い、彼の新居に招待される。彼の再婚相手がプロポーズもしたことのある元恋人だった・・・。
飲んでばっかりのク監督。作る映画も芸術的で理解できる人も少ない。本音として「自分のことしか知らない」などと言ってるところから、登場人物にも感情移入できない作りになってるのだろうと想像できるが、人の気持ちもわからないから「よく知りもしないくせに」という言葉が出てくるのだ。台詞だけの説明なのでレイプ事件があったとか、サンヨンの妻に失礼なことをしたとかは不明のまま。とにかく相手を怒らせる性格の持ち主の監督なのだ。
済州島での出来事も昔の恋人が登場したことで、欲情が蘇ってきて、つい寝てしまったことで地元の青年たちに詰問されてしまう。その修羅場から逃げ出し、元恋人コ・スンと海辺で語り合うのだが、そこでもヤン先輩のことを何も考えずに、「俺と結婚していれば・・・」などと言うものだから、しっぺ返しのように「よく知りもしないくせに」とスンに言われてしまう。
低予算のインディーズ風の作りのため、それほど褒められるべき映像はないのだけど、主人公が独りよがりの映画監督だということが伝わってくる。このク・ギョンナム監督はホン・サンス監督自身を投影させたものなのか。それとも戒めとして描いたものなのだろうか、ともかく人間関係が大切であり、映画にも人の気持ちを描かないとだめなんだろうなぁ。などと書くと、「よく知りもしないくせに」と怒られそうだが・・・