「地味な内容を演技でしっかりと作り上げた」31年目の夫婦げんか Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
地味な内容を演技でしっかりと作り上げた
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総合:70点 ( ストーリー:75点|キャスト:80点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
舞台劇でもないのに、殆どの内容を実力派の2人の演技に頼る稀有な作品でした。
何とか現状を変えたい妻と、妻の気持ちを理解できず現状の変更への意識の薄い夫の間には、すっかり倦怠期の2人には齟齬が固着して、かつては当たり前にしていたちょっとしたことすら再びすることが困難になっていた。だからちょっとしたことでぎくしゃくし傷つき、上手くいきそうになってもやっぱりそうはならない2人の関係に興味は失せなかった。名優2人はもうすっかり歳を重ねて外面の魅力は薄れているにもかかわらず、やはり演技力で魅せてくれた。
だけどもし自分がずっと若ければ、老いらくの2人のことにはあまり興味を持てなかったかもしれない。内容としてはちょっと地味なのは否定できない。
最初は心理療法で2人の関係を解きほぐし困難を乗り越え問題を解決しながら上手くいく流れかと思ったが、そう単純ではなかった。心理療法で問題を発見、解決法を実践して目出度く円満、なんてものじゃないのが2人の現実なのが捻りが効いていて良かった。
こんな赤裸々に私生活を聞かれるのは困ったものだし、心理療法の後で起きることがまた気恥ずかしい。それなのに心理療法士の存在感は相当に控えめで、治療の合間の2人の行動にこそ見どころがあった。
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