「40年撮り続けたことの重みが最後の一言に」映画と恋とウディ・アレン マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
40年撮り続けたことの重みが最後の一言に
少年時代からギャグライターとして活躍していた姿が描かれるのは興味深い。次から次とギャグが頭に浮かぶというのだから天才の部類に入るのだろう。
コメディアンとして出演した映画も数多く出てくる。ただ、こうして見てみると、ウディ・アレンは脚本と監督に専念して、演じるのはほかの人のほうがもっと面白い作品に仕上がったのではないかと思う。
自身が出演した作品を連発で見せられたときは睡魔に襲われた。
数十人の映画人によるインタビューは映画ファンとして興味深く面白い話が聞ける。ただ、反アレン派は登場しない。当然といえば当然だろうが、最初から最後までアレン賛歌になっているのも構成的に飽きる要因だ。
逆に見入ってしまうのは脚本を書いたりアイデアを練るアレンの姿。本当に楽しそうで活き活きとしている。
ウディ・アレンの作品で好きなのは「それでも恋するバルセロナ」「人生万歳!」「ミッドナイト・イン・パリ」と直近のものばかり。やはり本人が出ていないほうが好きなのだ。とくに「ミッドナイト・イン・パリ」が洒落た不思議感と恋の予感を漂わせる結びで大好きな映画だ。
映画の最後でアレンが語る。
「こんなにも運が良かったのに、人生の落伍者の気分なのはなぜだろう」
まだまだ本人が納得できる映画が撮れていないという事ばかりではないかもしれない。映画作りの現場そのものに(仕事のあり方に)長年の理想があって、現実がそこまで達していないことへ漏らした言葉に聞こえた。
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