「笑って泣けて、これぞやっぱり喜劇の王道ナンセンス映画の決定版」俺はまだ本気出してないだけ Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
笑って泣けて、これぞやっぱり喜劇の王道ナンセンス映画の決定版
青野春秋の人気漫画が原作で有ると言う。私は今迄この人気漫画の存在を知らずにいた。
しかし、映画を観ていると、「何か、この大黒シズオって、自分にそっくりで、似ているじゃない?と言うより、これ自分の事か!!??」と冷汗がどっと噴き出した。
「しかし、シズオはまだ軽傷だよな、一応神様が警告に来てくれるのだから、引き返すチャンスが残されているのかもしれない。自分の前には、神様も、もう時既に遅過ぎるので、来てもくれないわけだ」と妙に被害妄想が広がってしまった。
しかし、この辺りの心理状態は確かに、巧い描き方である。笑いのオブラートで良く真実を包みましたと、1枚座布団進呈したい気分でした。
この映画は配役も、その面白さを一段と高めてくれていると思うのだ。しかし、どちらかと言うとシリアスな芝居のイメージで考えていたが、堤真一がこんなキャラクターのコメディーか?と最初は驚いたが、大黒を堤真一に頼んだ人はセンスが良いと観た後感心した。
例えば、コメディーも多く演じて巧い、阿部寛が、大黒ではやはり、クール過ぎる。では、中井貴一では?この場合も、顔が不向きな気もするし、阿部サダヲでは、また意外性に欠けて面白味が出ないと思う。とするとやはり、この堤真一で大正解なのだ。そして、特に面白いのが、あの神さまと、過去の自分との夢の会議、あれは最高でした!
そして、その他大黒を囲む人間関係もとても面白い!先ず最高にキマッテいたのは、山田孝之演じる、フリーターの市野沢だ。彼は最初、どうしょうもないヤンキーなのかと思っていたら、超真面目な、純情なキャラだった。そして、大黒の幼なじみの宮田を演じる生瀬勝久は、真面目で実直なそのキャラが、大黒と何故か親友と言うのが、キャラ的に、ミスマッチで最高でした。しかし、彼もピンチを迎えるけれど、最後は良かったね。
そして、最も楽しかったのは、大黒の漫画担当の編集マンを濱田岳が演じていた事だ。彼の巧みな断り方は、まるで本当の編集マンみたいだった!(何故私が、そんな事を知っているのか?それは秘密です)
映画では、思いっ切り笑ったけれども、身に沁みた映画だった。人間は夢を持ちたいと誰もが望んでいる。しかし、やりたい事と、出来る事は現実的には一致するものでもない。
この人生の現実と言うべきか?矛盾と言うべきか?それは良く解りませんが、「奇跡のリンゴ」の木村さんの事例ではありませんが、人間の未来は何時花開くのか解らないのだから、夢を信じ続けて、本気を出しても、報われる事無く終わる事も有る。
しかし、覚悟を決めて、やり抜いた先に、光が射す瞬間もある。だから人は夢を見続けているのかも知れない。
だが現実には、そんな危険は決して侵せないのだ。だからこそ、映画の中だけでも、じっくりとこの大黒シヅオを応援して欲しいと願っている私だ。本作は、普段は映画をあまり観ないオヤジにも薦めたい映画だ。勿論、橋本愛ちゃんファンは元より、多くの方に笑って楽しんで貰える作品だと思いので、この作品で元気を充電して欲しい。
映画館で、作品上映前に映画泥棒禁止CM用にこの作品バージョンが創られた事を、映画を見た後で、映画のHPで知った。映画館で是非観たかった。それだけが心残りだ。