「笑えるけれども、自分のことを笑っているようで、少し胸が痛かった。」俺はまだ本気出してないだけ Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)
笑えるけれども、自分のことを笑っているようで、少し胸が痛かった。
笑えて、泣けて、考えさせられる、こういう映画いいと思います。
特に考えさせられるところがいい。
笑いをとろうとか、泣かせてやろうとか、その他の目的がある場合、現実からかけ離れてしまうことが多いけど、この映画はそうなっていません。
現実的なのに、笑えて、泣けた。
この映画の原作は、映画化されるかなり前、一巻だけ立ち読み程度に読んだことがある。
その時はすごく面白い設定だと思った反面、自分のことが書かれているような気がして、続きを読まなかった。
この映画だと、シズオ(神)に「おまえ、ヤバいっしょ?もういいかげんヤバくね?」と言われているような感じです。
人間いくつになっても、世間からは終わっていると思われても、自分はこれでよかったのだろうか?もっと他に何かあって、本気を出せばいけるのでは?というモラトリアムな気持ちを持っていると思います。
女性ならば、結婚している、あるいは付き合っているパートナーでよかったのだろうか?もっといい人いなかったのだろうか?本気出せばもっといい人ゲットできるのでは?みたいな気持ちです。
若い人は関係ない、この映画のようなことは当たり前でヤバくないのか、というとそうでもないと思う。
成長期やバブル期みたいに、その辺にチャンスがころがっている時代ではないし、あらゆるところがシステム化され、高度化、細分化しているから、目標をなるべく早いうちに決め、一直線に進まなければ、なかなか目標までたどりつけない。
若い人でも、モラトリアムな状態でフラフラしているのはかなりヤバい。
この映画の設定自体は、コントになりそうなもので笑えるけれど、その笑いが自分に帰ってきて、ちょっと胸が痛い感じもする不思議な映画でした。
モラトリアムから卒業できないシズオに、お父さんの言った「おまえ、いつまで生きるつもりだ?」という台詞は名言だと思う。