「シズオは本気出したら凄い男だよ、きっと、たぶん・・・」俺はまだ本気出してないだけ スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
シズオは本気出したら凄い男だよ、きっと、たぶん・・・
爆笑してしまうようなシーンのあるコメディではなかったので、物凄く面白かったとまではいかないのですが、地味に面白かったです。
勿論、ネタがネタなんで、寒い、つまらないと言う意見が多くあっても、それはそれで至極納得。
主人公のダラダラ具合は見ていて不愉快になる人もいるでしょうし、そもそも全体的にユル過ぎて退屈しちゃう人もいるでしょうからね。
でも、最後まで変に成長しないところが私的には良かった、まだ本気出してないんですから、きっとこれからなんですよ(笑)
しかし42歳バツイチ、父親と娘との3人暮らし、一家の大黒柱がこれでいいのか?って普通に考えたら良くないに決まってる。
でも、それを実践しちゃっているシズオが、どこか羨ましくもあるんですよね。
何だかんだで普通の生活できてるし(娘のバイトと親の年金が支えなところがあるとしても)、周りの人間には何故かいい影響与えてるし(反面教師的な意味も含めて)、人生悩み苦しむより、好きなことに夢中になって生きた方が、それは楽しいよね、ってまあそれが現実出来ないから我々はしたくもない仕事をして生きているのですが・・・。
それにしても、シズオの超ポジティブなところはホント気持ちいい!
シズオの書く漫画にもそれが反映されているところが何気にツボ。
濱田岳が演じた編集員との会話も、面白かったなぁ、普通の人ならへこたれる(お互いにね)けど、2人ともいいキャラしてたぁ。
生瀬勝久演じる典型的なサラリーマンの親友と、山田孝之演じる人生に目的を見出せない若者との不思議な関係性も、ある種対極にいる感じの3人って感じで、面白かったぁ、やはり人は究極の前向きさに触れてしまったら、変われるものなのかもね。
橋本愛が演じた娘の秘密のバイトに関しては、さすがにやりすぎな気もしましたが、本心が読みづらいクールな娘の本当の気持ちにはちょっと感動、いい余韻の残るラストでした。
俺はまだ本気出してないだけ、それは私も時々考える究極の言い訳なんで、ちょっとだけ共感してしまった自分が悲しい・・・しかし堤真一にこんな役をやらせるとは、さすが福田雄一監督!