「戦国の感慨深く」清須会議 gsacraさんの映画レビュー(感想・評価)
戦国の感慨深く
上映時間が長いため、前作「ステキな金縛り」と同じ轍を踏んでしまったか、と恐れましたが、今回はラスト20分に素晴らしいシーンがありました。
特に、会議の結論が出てからの柴田勝家と丹羽長秀のやり取りには、長い付き合いからくる断ち切れない親しみ、生き抜くために生じた立場の違いへの理解、お互いもう以前の付き合いには戻れないことをわかっていながら、湿っぽい関係にはならない互いの気遣いなど、様々な感情が混じり合い、胸に迫るシーンでした。
お市の方、松姫など女性たちも戦国を生き抜くしたたかさ、譲れない意地などを見せてくれ、眠気で重くなった眼が開かれ、スクリーンに集中し直せました。
正直、コメディとしては前作の方が出来が良かったと思います。笑う、というより“ニヤリ”止まりでした。眠たくなったのも事実です。
でも、大泉洋はじめ役者陣は良かったですし、映画全体としてラストの締めが素晴らしかったので、トータルではこれまでの三谷作品の中で最も良い出来だったのではないでしょうか。
あとはやっぱり尺の使い方ですね。会議後日談が始まって少しした頃、私の前に座っていた方が「もういいだろう」と言ってお連れの方と途中退出してました。どんな良いシーンが控えていても、観客をそこまで引っ張れなければ駄作で終わります。無駄と余韻は紙一重かもしれませんが、三谷さんはまだ「無駄」が多いと思いますよ。
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